予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和3年予備試験民事訴訟法

 令和3年予備試験民事訴訟法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1(1)

 1 136○、38○

 2 民法423の5○

 3 ○

第2 設問1(2)

 1 47Ⅰ→片面的独立当事者参加も○

 2 142?

 (1) 規範(合一確定されるので問題ない)

 (2) ○

 3 民法423の5→当事者適格も問題ない

 4 法律上非両立?

 (1) 請求の趣旨レベルで非両立なら○

 (2) YのXに対する債務不存在確認請求・XのZに対する所有権移転登記請求は両立する

 (3) 両立するので×

 5 ×

第3 設問2

 1 Y

 (1) 115Ⅰ②?

  ア 規範(代替的手続保障が及ぶ限り訴訟の結果を問わず第三債務者にも既判力及ぶ)

  イ 訴訟告知もされているしXが無権利者のような事情もない

 (2) ○

 2 A

 (1) 債権者代位訴訟の競合→Aにも既判力が及ばなければYを介して既判力が矛盾(115Ⅰ②)

 (2) 類似必要的共同訴訟と考えることで不都合性回避→反射的な効力でAにも既判力が及ぶ

 3 ○

(所要時間24分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもやや難しいと思う。

 

・設問1は、いずれの小問もよくわからなかった。設問2は、おそらく典型論点が問われていた。債権者代位訴訟は民法改正からしばらくは出ないと思っていたので、驚いた。

 

・設問1(1)については、本当にわからなかった。固有必要的共同訴訟か否かが問題になるのかと疑ったが、「固有必要的共同訴訟なら共同訴訟参加できる(できない)」みたいな話は聞いたことがないので、これは違うと思って書かなかった。結局、共同訴訟の客観的要件・主観的要件を簡単に検討して、一応民法423の5にも触れておいた(当事者適格)。ほとんど点数が入らない気がしているが、しばらく考えても全然閃かなかったし、複雑訴訟は苦手なので、まぁ仕方ない。予備試験の民訴、こういう問題が毎回出るから本当に難しい…。司法試験なら丁寧な誘導があるから、司法試験の方が圧倒的に簡単。

 

・設問1(2)については、とりあえず二重起訴・当事者適格を書けば良いと思う。問題は、法律上非両立か否か。YからZに対して請求がなされていないので、何と何を比較すべきなのかよくわからなかった。とりあえず、YのXに対する債務不存在確認請求・XのZに対する所有権移転登記請求を比較した。YのXに対する請求が認められればXにはZに対する請求の当事者適格がないことになるため、両立しないのではないかとも思った。ただ、仮にYのZに対する請求が定立されていたとしたら、それはXのZに対する請求と請求の趣旨レベルで両立する(Xは「Yに登記を移転せよ」としか言えない)。そして、YのZに対する請求の有無で結論が逆になるのはおかしいと考えたので、結論としては両立するとした。ただ、その結論を導く説得的な理由はよくわからなかった。

 

・設問2については、まずは115Ⅰ②でYにも既判力が及ぶことを論証し、その反射的な効力で類似必要的共同訴訟になりXにも既判力が及ぶという立場を取った(必要性ゴリ押しの学説)。これは旧司・予備H25に既出の論点なので、しっかり自説を書けないとまずいと思う。Yに訴訟告知がされていること・「本件判決の効力」と書かれていることから参加的効力を疑ったが、本件判決の効力がYに及ぶか否かの検討を踏まえるよう要求されていることからすれば、参加的効力は問題にならないと判断した。

 

・得点のポイントは、①設問1(2)では二重起訴・当事者適格・法律上非両立の論点を丁寧に検討すること、②設問2の典型論点でしっかり自説を展開すること、の2点である(と思う)。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、②ができていることを前提に、①の現場思考論点(法律上非両立)に食らいつけたかどうかだと思う。②さえできていれば、配点が3割とは言え、少なくともFはつかないと思う。これに加えて、設問1(1)でも一定レベルの論述ができれば、AやBがつくと思う。ここで言う「一定レベルの論述」は、正しい論述である必要は全くないが実質白紙みたいなレベルではないという意味である(私の答案構成は実質白紙レベルです)。

 

 

 こんな感じですかね〜。正直、商法に引き続き民訴も自信がないです。特に設問1(1)は大きく筋を外している可能性が高いです。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験商法

 令和3年予備試験商法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 354?

 (1) 「副社長」○

 (2) 「付した」?

  ア 代表取締役or取締役の過半数or大株主が知っていれば良い

  イ あてはめ(8割の株式を所有する元代表取締役Aが了承していた)

  ウ ○

 (3) 「善意」?

  ア 善意無重過失のこと(登記もあるので908Ⅰは問題にならない)

  イ あてはめ

  ウ ○

 2 ○

第2 設問2

 1 本件慰労金の返還請求の根拠=民法703(株主総会がないので会社法361Ⅰ①違反)

 2 Bの主張

 (1) 本件慰労金退職慰労金)は「報酬等」に当たらない

  ア 規範

  イ 「報酬等」に当たる

 (2) 株主総会がなくても本件内規に基づき大株主Aが自ら支給を依頼しているから問題ない

  ア 過半数の株主が賛成し、客観的公正の担保(一定の基準・株主にも推知可能・基準に基づく支給等)があれば、株主総会があったのと同視できるため、お手盛りの弊害防止という趣旨に反しない

  イ あてはめ

 (3) ○ 

(所要時間24分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもやや難しいと思う。

 

・設問1・設問2を通じて、何がメインで問われているのかよくわからなかった。明らかに分量が足りないので、おそらく何か重要な論点を落としている…。

 

・設問1については、354しか思いつかなかったし、争点は「付した」の要件くらいしかない。確か判例だと代表取締役or取締役の過半数が知っていればこれを満たすのだが、本問はいずれにも該当しない。ただ、8割の株式を所有する元代表取締役Aが明示的に了承して虚偽の登記まで作成している。会社の影の支配者とも言うべき存在がここまで加担していたのだから、これで354を否定するのは乙に酷だと考え、何とかこれを肯定する規範をでっちあげた。正直、全然自信がない。

 

・設問2については、本件慰労金の返還請求の根拠は民法703(株主総会がないので会社法361Ⅰ①違反)しかないと思った。Bの主張としては、まずはダメ元で「本件慰労金退職慰労金)は『報酬等』に当たらない」と言わせて、典型論点を貼って確実な得点を稼ぐ。次なるBの主張としては、「株主総会がなくても本件内規に基づき大株主Aが自ら支給を依頼しているから問題ない」というものくらいしか思いつかなかった。要は、「8割も株式を所有している人間が自ら依頼していたのだから、株主総会やっても結果変わらなかったよね」という一人会社的な発想。こんな考え方があり得るのか全くわからないが、逆にこれ以外思いつかなかった。本件内規に基づいているという事実も使いたかったので、規範段階で「客観的公正の担保」という要件も加えてみた。実際、結構めちゃくちゃな主張な気がするので、これくらい要件を加重するのは当然な気もする。

 

・総じて、出題趣旨がよくわからなかった。私が思いついたものは、「本来取締役がやるべきことを大株主(しかも元代表取締役)のような影の支配者がやったらどうする?」というテーマ。いずれの設問も共通してこの点が問題になる気がしたので、これがテーマだと信じたい。

 

・得点のポイントは、①設問1では354の要件を丁寧にあてはめること、②設問2では本問の特殊性に食らいつくこと、の2点である(と思う)。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、①ができていることを前提に、②に現場思考で食らいつけたかどうかだと思う。①さえできていれば、少なくともFはつかないと思う。これに加えて、②でも一定レベルの論述ができれば(正しい論述である必要は全くないが実質白紙みたいなレベルではないという意味)、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。正直、今まで書いてきた科目の中で1番自信がないので、大きく筋を外している可能性がそれなりにある気がしてます。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験民法

 令和3年予備試験民法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 本件ワイン売買契約

 (1) A…542Ⅰ①

 (2) B…本件ワインを引き渡すことは可能なので未だ履行不能ではない

 (3) A…特定時は飲用に適する物だった以上、劣化したことで履行不能

 (4) ○

 2 本件賃貸借契約

 (1) A…542Ⅰ⑤

 (2) B…冷蔵倉庫甲の使用には何らの支障がなくなっているので債務不履行はない

 (3) A…本件ワイン売買契約が解除されるため密接に関連する本件賃貸借契約も解除できる

  ア 判例の規範

  イ あてはめ

  ウ ○

 (4) ○

第2 設問2(1)

 1 有効性(主張②)?

 (1) 何らかの形で特定されていれば特定としては十分(判例参照)

 (2) あてはめ(倉庫内丙にある全ての酒類を目的物として特定されている)

 (3) ○

 2 第三者に対抗(主張①)?

 (1) 占有改定でも対抗要件は具備される(そうしないと譲渡担保の意味がない)

 (2) あてはめ

 (3) ○

 3 ○

第3 設問2(2)

 1 所有権留保=所有権的構成=本件ウイスキーの所有権は未だDに帰属

 2 本件の集合動産譲渡担保に搬入された時点で当然にその目的となるわけではない

 3 本件ウイスキーの転売を承諾しているが、譲渡担保に供することは承諾してない

 4 ○(主張③)

(所要時間22分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもやや難しいと思う。

 

・設問1はそれほど難しくないが、設問2はかなり難しい。私は「集合動産譲渡担保と所有権留保の優劣」について論文を書いたことがあるが、それも2年以上前なので、ほとんど忘れてしまった。そのため、出題予想していた分野であるにも関わらず、全然自信がない笑。ましてやこれについて考えたことがない人は、現場でかなり焦ったと思う。まぁ、設問2はほとんどの受験生がまともなことを書けていないと思うので、ここで失敗しても気にする必要はないと思う。

 

・設問1については、本件ワイン売買契約の部分はあまり自信がない。特定とかの議論が絡みそうな気がしたが、自分の苦手分野なのでスルーした笑。とりあえず債務不履行の有無を争点にしておけば、債務不履行解除を認めた上で、本件賃貸借契約の典型論点に流すことができる。令和3年司法試験でも債務不履行の有無だけが争点になる設問が出題されたので、本件ワイン売買契約も同様だと信じたい。いずれにせよ、本件ワイン売買契約の解除は認められるはずである。そうすれば、本件賃貸借契約は「密接に関連する2つの契約の一方のみが解除された場合」の判例の規範を貼り、普通にあてはめれば終わりである。本件賃貸借契約についても、解除は認められるべき事案だと思う。

 

・設問2(1)については、「有効性→対抗要件」の順番で論じるべきなので、「主張②→主張①」の順番で論じるべきだと思う。判例・実務の考え方からしても、本件は対抗要件を具備した有効な集合動産譲渡担保だと思う。論点というより、短答知識の問題。

 

・設問2(2)については、めちゃくちゃ難しい。予備試験受験生にいきなり現場でこれを考えさせるのはかなり酷だと思う。私が受験生なら、とりあえずこの設問は飛ばして商法・民訴に時間を使い、余った時間でテキトーに書く。私は答案構成に書いたことくらいしか思いつかなかったが、こんな単純な議論ではなかった気もする。いずれにせよ、ここができなくても合否には全く影響しないと思われる。最悪のパターンは、この設問に時間をかけすぎてしまうこと。

 

・得点のポイントは、①設問1では典型論点の論証を丁寧に書き丁寧にあてはめること、②設問2(1)では有効性と対抗要件の議論をしっかり分けて短答知識から簡潔に書くこと、③設問2(2)では所有権留保の性質等から論理的に考えた自分なりの結論を導き出すこと、の3点である。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、①ができていることを前提に、②に短答知識で食らいつけたかどうかだと思う。①さえ拾えていれば、少なくともFはつかないと思う。これに加えて、③でも一定レベルの論述ができれば(正しい論述である必要は全くないが実質白紙みたいなレベルではないという意味)、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。個人的に設問2(2)は過去最難関レベルの問題だと思うので、予想以上に評価が良い人が続出しそうな問題です。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験法律実務基礎科目(刑事)

 令和3年予備試験法律実務基礎科目(刑事)の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 なお、法律実務基礎科目はある程度一義的な正解が存在する科目である以上、この記事の需要はあまりないと思われるので、本当に簡単な雑感だけ書きます。 

 

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べても簡単だと思う。

 

・設問1小問1については、疎明資料aで逃亡のおそれ・罪証隠滅のおそれといった勾留の理由がないことを主張しようとし、疎明資料bで勾留の必要性がないことを主張しようとしている。小問2については、前科があること等から逃亡のおそれが認められ、Vと面識があること・Wの利用する駐車場を知っていることから罪証隠滅のおそれが認められ、仕事内容も一従業員として事務や営業をするにすぎない(ワンマン経営者等に比べると代替性がある)ことから勾留の必要性が否定される程ではない、と裁判所は考えたということだと思う。

 

・設問2については、信用性が認められる証拠は全て使うくらいの気持ちで書く必要がある。これは書けば書くほど得点が伸びる設問なので、しっかりと時間と紙幅を割いて推認過程を丁寧に書きたい。

 

・設問3については、刑訴法157条の5第1項、同条2項、157条の6第1項3号のそれぞれの要件を検討した結果、157条の5第1項しか満たさないと検察官は考えたということだと思う。よって、「157条の5第1項の要件は満たすが同条2項と157条の6第1項3号の要件は満たさない」という結論が出るように、それぞれの条文の要件について丁寧に検討すれば良いだけだと思う。

 

・設問4については、前提として、検察官は刑訴規則199条の12第1項に基づいて許可を求めたことを指摘する必要がある。そして、同条2項・199条の10第2項や199条の11第2項を参照しつつ、証人尋問に関する規制の趣旨を探る。要は、「証拠調べが終わっていない書面等を証人に提示して供述内容に不当な影響を及ぼすことを防止する」という趣旨である。そこで、このような趣旨から本問を考えてみる。そもそも、④の書面については、Wによる現場指示説明部分は弁護人が不同意と言い、同意があった部分のみ証拠調べがされたにすぎない。そのため、Wの現場指示に基づいて記入された記号等をWに提示すると、供述内容に不当な影響を及ぼす可能性がある。よって、このような理由から裁判長は釈明を求めたという結論が出る。

 

 

 こんな感じですかね〜。今年の刑事実務は、時間的にも結構余裕がある気がしました。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験法律実務基礎科目(民事)

 令和3年予備試験法律実務基礎科目(民事)の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 なお、法律実務基礎科目はある程度一義的な正解が存在する科目である以上、この記事の需要はあまりないと思われるので、本当に簡単な雑感だけ書きます。 

 

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べても簡単だと思う。

 

・設問1(1)(2)(3)については、大島本等に正解が載ってるはずであるし、私も正確な言い回しを覚えている自信がないので、割愛する。(4)(ⅰ)については、弁済済みとして控除した5万円を支払ったと主張したところで請求原因との関係で何の意味もないので、主張自体失当だと思う。(ⅱ)については、一部弁済として権利の承認がなされ、時効が更新されるという意味を有するのだろうか。ただ、時効が争点になりそうにもない事案なので、正直ここはあまり自信がない。

 

・設問2については、前者は481条1項等によって弁済禁止効があるのに対して、後者は423条の5によって弁済禁止効がないというだけの設問だと思う。これはあまりに有名な改正条文なので、瞬殺できないとまずい問題。ちなみに、423条の5は民法学者が残した「地雷」と言われているらしい。要は、債権者代位訴訟をできるだけ使わせない方向で学者の意見は概ね一致していたので、何とかこの条文をねじ込んだということらしい。学者vs実務家の争いは面白い。

 

・設問3(1)(ⅰ)についても、上述の理由で割愛。(ⅱ)については、債務者対抗要件が具備される前でも債権譲渡自体は有効であり、債権譲渡を債務者側から認めることには何ら問題はなく、Xはもはや債権者ではない、というだけだと思う。(2)については、622条の2第1項1号により、甲建物の明渡し前である現時点においては法的に成立し得ない主張、というだけだと思う。

 

・設問4については、①本件契約書のY作成部分の成立の真正の否定、②5万円の支払は甲建物の賃料であることの否定、③Xの不自然な挙動、という流れで私なら大枠を設定する。これに加えて、相場の3分の2の賃料は不自然な程安いことにも言及しても良いかもしれない。①について、まずは賃借人欄の氏名はXの筆跡であるという争いのない事実を指摘し、二段の推定に簡単に触れ(実際の準備書面ではもちろん触れないが試験では触れた方が無難)、一段目の推定を覆す事実(Xは週2日Y宅に行っていたので印鑑の場所を知っていたこと・YがいないY宅で子どもの面倒を見てたこと)を指摘し、さらに三文判は証明力が著しく弱いのにXはそれを補強するような事実を何ら主張していないことを指摘する。②について、Yの主張をそのまま書き写せば良い。③について、Yの経営が苦しいわけでもないのに賃貸してから半年近くも賃料を一度も請求しないことがいかに不自然であるかを指摘し、これはXの娘であるYの妻とYが不仲になった時期と重なることも指摘し、半年後に突然賃料をまとめて請求するような不自然な挙動は「妻の親としての復讐」的な動機に由来しているという事実が推認されることを指摘する。なお、Yが妻と別居したかどうかはXが判断することではない気がするし、不仲になったという本質的に重要な事実までXが争っているようには読めないので、別居云々の議論はスルーして良いかもしれない(余裕があれば簡単に言及する程度)。

 

 

 こんな感じですかね〜。昨年は民事実務で失敗してBしか取れなかった私ですが、今年の問題は去年よりは自信があります。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験刑事訴訟法

 令和3年予備試験刑事訴訟法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 212Ⅱ?

 (1) バッグ所持→2号○、声かけたら逃げた→4号○

 (2) 「罪を行い終つてから間がないと明らか」?

  ア 時間的場所的近接性のこと、複数の各号該当性があれば緩やかに判断

  イ 約2時間・約5km→時間的場所的には離れてるが緩やかに判断できるので○

  ウ ○

 (3) 明白性も要求される→2号・4号に該当、犯人の特徴とも一致→○

 (4) 必要性も要求される→逃亡のおそれあり、バッグ捨てたので罪証隠滅のおそれあり→○

 2 ○

第2 設問2

 1 39Ⅲ本?→「捜査のため必要があるとき」?

 (1) 判例の規範(間近い時に実況見分等で被疑者を必要とする確実な予定がある場合含む)

 (2) あてはめ(直後に甲に案内させた上で実況見分等する予定あり)

 (3) ○

 2 39Ⅲ但?→「被疑者の防禦の準備をする権利を不当に制限」(初回接見)?

 (1) 判例の規範

 (2) あてはめ

   ・甲と共犯者しか知らないナイフを捨てた場所に行ってナイフという重要証拠を押収するための引き当たり捜査なので、共犯者や第三者がこれを見つける前に行く緊急性が高い

   ・10月の午後5時30分ともうすぐ日が暮れる時間なので、現場に到着する頃には暗くなることが見込まれ、今行かなければ明日になるまで行えない可能性がある

   ・Rは午後8時以降という比較的近接した時間帯なら可能と言っていた

   ・Rは短時分の接見でも可能かどうかをSと協議・検討したが、意見は折り合わなかった

 (3) ○

 3 ○

(所要時間13分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもかなり簡単だと思う。

 

・検討すべき条文・論点は明らかな問題で、理論的に悩ましい部分も特になかった。このような問題では少しの勘違いが大きな失点に繋がるので、慎重に検討したい。また、答案構成を終えた段階で「どこで差をつけるか」という意識がないと、書けたつもりでも評価が伸び悩む可能性が高い。

 

・設問1については、準現行犯逮捕を検討すべきことは明らかで、各々が用意した枠組みで淡々とあてはめれば足りる。伊藤塾では、私の答案構成のように接着性と明白性を完全に分けて検討するように教わるが、これは多くの学者にとって違和感ある書き方なので、最善ではないことは承知している。ただ、このような書き方で教授に答案を見せた時も「違和感がある」と言われただけで大きな減点はされなかったし、何より個人的には伊藤塾スタイルの方が書きやすいので、別にこの書き方でも大きな問題はないと思われる。それよりも、具体的なあてはめが勝負である。2号と4号該当・約2時間・約5kmというのは、判例と比較しても違法の疑いが強いようにも思われる。ただ、少なくとも私の書き方では、接着性で切ると明白性・必要性が書けないので、答案戦略的にやや強引に適法という認定をしてみた。率直な感覚では、「おそらく違法だけど頑張れば適法にできないこともない事案」という感じ。

 

・設問2については、「初回接見」という論点に飛びつかないように気を付けたい。まずは、39Ⅲ本文について論点を書き、同項但書の文言解釈の中で初回接見の論点が出てくる。論点は知っててもこの書き方を知らなかった人はそれなりにいそうである(この点は『ロースクール演習刑事訴訟法』でも注意喚起されている)。この書き方さえ知ってれば、後はそれぞれ判例の規範を貼って当てはめるだけである。稀に「初回接見で接見指定をすることは常に違法」のように誤った覚え方をしている人がいるが、この事例で違法にするのは流石にあり得ないと思う。どう考えても適法にすべき事案なので、この設問については結論自体に点数が振られているはずである(間違って違法にしたら致命傷は免れない)。結論自体は適法でも、「ナイフ押収の引き当たり捜査の緊急性が高い」という事実を規範のどこに対応させるかは悩むべきかもしれない。何も参照していないので確かではないが、規範の中にこれと上手く対応する文言はなかった気がする。古江本には「初回接見の接見指定でも適法とすべき典型的事案」として本問のような事案が載っていた気がするので、結論は明らかだが、あてはめ方が不確かである。

 

・得点のポイントは、①設問1では複数の各号該当性があることを踏まえて説得的なあてはめをすること、②設問2では2つの要件について判例の規範を正確に書くこと、③初回接見のあてはめを規範との整合性を保ちつつ説得的に書くこと、の3点である。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、①②③ができていることを前提に、意外と答案の構成で勝負がつくのではないかと思う。212Ⅱ各号該当性から書かなかったり(平成25年採点実感参照)、39Ⅲ本文を落としたりすると、このような簡単な問題では一気に評価を落とす。これに加えて、事実を一つも落とさないハイレベルなあてはめができれば、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。明らかに例年より簡単な問題だと思うので、予想以上に評価が悪い人が続出しそうな問題です。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験刑法

 令和3年予備試験刑法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 甲

 1 窃盗○

 2 自己所有建造物等以外放火?

 (1) 本件帳簿は甲所有なので「自己の所有」○

 (2) 「放火」○

 (3) 「焼損」○

 (4) 「公共の危険」?

  ア 判例の規範(非限定説)

  イ あてはめ

   ・漁網は無主物なので問題ない

   ・釣り人にも延焼するおそれ自体は生じてないため問題ない

   ・釣り人の所有する原付に延焼するおそれが生じている

  ウ ○

 (5) 故意○

 (6) 「公共の危険」の認識の要否?

  ア 認識不要説(判例

  イ 甲が原付の存在を認識していなくとも問題なし

 (7) ○

 3 殺人の幇助?

 (1) 前提として、作為正犯に不作為で関与する者は原則として共犯にならない(通説)

 (2) 不作為の「幇助」

  ア 規範(危険な状態、作為義務、可能かつ容易、義務違反)

  イ あてはめ(救命確実な時点だったこと・止められた可能性高かったことにも言及)

  ウ ○

 (3) 因果性?

  ア 不作為の幇助の因果性=作為義務を果たせば実行が困難になっただろうといえれば良い

  イ あてはめ(救命確実な時点だったこと・止められた可能性高かったことに言及)

  ウ ○

 (4) 乙は甲の帰宅に気付いていなかったが、物理的に容易にする片面的幇助は成立し得る

 (5) 故意?→殺人の幇助ではなく嘱託殺人の幇助だと勘違い→38Ⅱ

 (6) ×

 4 嘱託殺人の幇助?

 (1) 客観的構成要件該当性(抽象的事実の錯誤)?

  ア 規範

  イ あてはめ(嘱託殺人の幇助の限度で実質的に重なる)

  ウ ○

 (2) ○

 5 罪数(全て併合罪

第2 乙

 1 殺人の単独正犯○

 2 罪数

(所要時間15分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べても簡単だと思う。

 

・検討すべき犯罪・論点は明らかな問題で、理論的に悩ましい部分も特になかった。令和2年と同様、このような問題では少しの勘違いが大きな失点に繋がるので、慎重に検討したい。また、答案構成を終えた段階で「どこで差をつけるか」という意識がないと、書けたつもりでも評価が伸び悩む可能性が高い。

 

・甲が本件帳簿を持ち出したことについて、横領や背任を検討する必要はないと考えた。というのも、本件帳簿は甲所有と問題文に書いてあるので、単に自己所有の物を持ち出したにすぎないからである。これは正規の帳簿ではなくいわゆる裏帳簿なので、法人の所有権を認めることは不可能だと思う。同様に、証拠隠滅のために裏帳簿を持ち出すことが任務違背行為に当たることもあり得ないと判断した。また、問題文のナンバリング的にも、1が窃盗、2が放火、3が殺人という風に犯罪ごとに区切られていると考えるのが素直である。仮に本件帳簿を持ち出した点も犯罪を検討して欲しいのなら、窃盗の段落に「2」とナンバリングされるはずである。←改めて問題文を読むと、成立しないにしても背任は検討する必要がある気がしてきた。現場だったら、全く触れないのは怖いので一言書いて否定するかもしれない。あるいは、成立するという筋もあるのだろうか。正直、よくわからない。

 

・窃盗については、特に言うことはない。一瞬だけ正当防衛や自救行為を考えたが、Yが本件帳簿を甲から盗んだという事案でもないので、流石に検討する実益はないと判断した。

 

・証拠隠滅については、流石に言及しなくて良いと思う。書くとすれば「『他人の刑事事件』ではない」と書くことになるが、ここでいう刑事事件とは何なのだろうか。脱税は刑法上の犯罪でもないし、よくわからないので言及する必要はないと考えた。

 

・自己所有建造物等以外放火については、判例の立場(非限定説)を前提に考えると、「公共の危険」のあてはめが少し悩ましい。漁網は無主物なので、これが燃えても自己物が燃えたのと法的には変わらないため、問題ないと考えた。釣り人が煙に包まれた点についても、あくまで延焼のおそれはないため問題ないと考えた。もっとも、価値判断的には違和感があるので反対説はあり得そうである(「焼損」の意義を巡る議論を想起した)。いずれにせよ、原付については延焼のおそれが生じている以上、非限定説からは「公共の危険」は認められるはずである。強いて言うなら、本件帳簿から直接ではなく漁網という無主物を介して原付に延焼のおそれが生じた点が気になるが、直接的か間接的かで結論が逆になるのは妥当でないので、おそらく結論には影響しないと思われる。また、甲は原付等の存在を認識していなかったが、これは故意ではなく「公共の危険」の認識の問題であることには注意したい。ここさえ間違えなければ、あとは判例の立場(認識不要説)か通説の立場(認識必要説)を簡単に論じれば足りる。

 

・殺人の幇助については、原則幇助説(通説)から簡単に共同正犯を否定し、あとは不作為の「幇助」・因果性・故意について典型論点を論じれば足りる。理論的には全く難しくないが、救命確実な時点だったこと・止められた可能性高かったことが不作為の「幇助」・因果性のいずれの論点との関係でも問題になり得ることには注意したい。救命確実な時点でなかったのなら作為義務も因果性も否定されるし、止められた可能性が著しく低かったのなら作為義務も因果性も否定され得るからである。なお、片面的幇助にも一言触れると加点事由かもしれない。

 

・乙の殺人については、びっくりするほど書くことがなかった。本当にこれで良いのか不安だが、共犯を論じさせるために出してきたモブキャラだと信じたい。

 

・得点のポイントは、①「公共の危険」のあてはめで3つの客体を丁寧に分析すること、②不作為の「幇助」・因果性のあてはめで救命可能な時点・止められた可能性が高かったことについて適切に言及すること、③抽象的事実の錯誤(客観>主観パターン)を38Ⅱを用いて丁寧に書くこと、の3点である。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、全体の構成を大きく外していないことを前提に、①②③についてある程度分量を割いていることである。ここのメリハリを誤ってどうでもいい犯罪・論点についてダラダラ書いてたりすると、このような簡単な問題では一気に評価を落とす。これに加えて、構成要件の定義・論証を正確に書けていたり、あてはめの方向性が間違っていなければ、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。私自身は刑法はぶっちぎりのAだったので、上記の構成が正解筋であって欲しいです(もし間違ってたらプライドが傷つく笑)。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。