予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和元年予備試験民事訴訟法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活34日目、今日は令和元年予備試験民事訴訟法を解きました。

 完全な初見ではないですが、実際に書いたのは初めてです。かかった時間は46分でした。

 

〜選んだ解答筋〜

・設問1

 ①Yの主張=固有必要的共同訴訟なのにX2死亡してたから訴訟要件欠いて却下

 ②訴訟係属が生じるのは訴状送達時

 ③表示説→X1とX2が原告

 ④本件訴え=固有必要的共同訴訟

 ⑤124Ⅰ①の直接適用×→潜在的訴訟係属あり→類推適用→訴訟手続の受継申立て

・設問2

 ①115Ⅰ①が原則→×

 ②115Ⅰ②④も×、③も×

 ③115Ⅰ④類推適用

 ④○

 

〜個人的な反省〜

・設問1について、本件訴えが債権的登記請求権であることを示せていない。

・設問2について、「115条1項2号、4号のいずれにも当たらない。さらに、口頭弁論終結前の譲渡であり、3号にも当たらない」という論述から、115条1項4号類推適用を検討し始めるのは違和感がある。この場合、直接適用の否定を丁寧に認定すべきは、4号該当性のはずである。また、類推適用をして終わっており、「Zの主張が前訴判決の判断内容と矛盾するか」という効果面の検討をしていない。

 

〜問題の分析〜

・設問1は非常に書きづらい、設問2は知識か現場思考で対処可能。

・設問1について、そもそも問題の所在を把握するのが難しい。一見すると、「何を書けば良いのか」という感じである。ただ、Yの主張をよく読むことで問題点に気づける。Yの主張は、「本件訴えは却下されるべきである。」というものであり、X1の死亡により訴訟要件が欠いたという主張なのだと考えられる。つまり、Yは本件訴えが固有必要的共同訴訟であることを前提にしていると考えられる。そこで、本件訴えが固有必要的共同訴訟かを検討することになる。債権的登記請求権とはいえ、共有に属する財産に関する請求であることからすれば、固有必要的共同訴訟に当たるというのが素直な認定だと思われる。出題趣旨にも、「判例の立場では固有必要的共同訴訟をされる本件共同訴訟の性質を踏まえつつ」と書かれているため、やはり本件訴えは固有必要的共同訴訟に当たることを前提に論述を進めるべきである(当たらないとすればその時点でYの主張は失当となり、「X2側の『対応』を論じるまでもない」というおかしな結論になる)。

 本件訴えが固有必要的共同訴訟だとしても、X1が死亡しても相続人に訴訟承継をさせることで当事者適格が欠けていた瑕疵が治癒されるのではないかという検討をすることになる(前提として、「表示説→原告はX1X2」ということはどこかに書く必要はある)。具体的には、X1からAに訴訟承継されるという法律構成が考えられる。X1が死亡したのは訴状送達前すなわち訴訟係属前であり、124条1項1号を直接適用できない。しかし、本件訴え提起後すなわち潜在的訴訟係属が観念できる時点で死亡したとして、同号を類推適用できる。結論としては、「X1からAに本件訴訟が承継されたとして、訴訟手続の受継申立てをすべきである」という感じになるのか(よくわからない)。再現答案を見る限り、結論部分は点数にほとんど影響していないようなので、形式的に問いに答えていれば、それほど神経質になる必要はなかった。

・設問2について、「115条1項4号類推適用」という法律構成を知っていれば、簡単な問題である。伊藤塾の基礎Mテキスト・判例百選にも載っており、ある程度勉強した人なら普通に気づく論点である。仮に知らなければ現場思考で対応するしかないが、当然ながら事前に知っていた人よりは不利である。やはり民訴に関しては知識が多いほど有利である。民法・商法と異なり、本当の意味での現場思考問題は出題されづらいからである。115条1項1号の趣旨から丁寧に原則論を論じ、同項4号が直接適用できないことを丁寧に論じたい。あとは論証を貼り付けて当てはめれば良い。主観的範囲を論じた後は、問いかけに対応して 「Zの主張が前訴判決の判断内容と矛盾するか」という効果面の検討もする必要がある。作用についても厳密には問題になるが、よくわからなければ無視した方が良いと思う。

 

〜予想採点実感〜

・この年の出題趣旨は、例年よりは詳細であり、ここから採点者が何を感じたかはある程度読み取れる。そのため、「合理的推測を含めた出題趣旨の意訳」を予想採点実感とする。

・設問1

 ①本件訴えは、流石に固有必要的共同訴訟だろう。ただ、その検討を丁寧にしている答案があまりに少ない。

 ②124条1項1号類推適用について書けている人が思ったより少ない。そのため、ここについて書けていれば、論理的に不自然な論述でも点数をあげるしかなかった。

・設問2

 115条1項4号の類推適用について書けていれば点数をあげた。書けなかったやつは百選読んで勉強しろ。

 

 

 こんな感じですかね〜。設問1は、論理的に考えられれば難しい問題ではないと思いますし、設問2は知識(なければ現場思考)で何とかなった人が多いと思います。ただ、全体的な出来は過去最悪レベルに悪いです(上位合格者でも民訴だけ成績悪い人は多い)。そういう意味では、「変な問題」(必ずしも実力ある人が点数取れるとは限らない問題)なのかもしれません。確かに設問1は独特の思考過程を経ないと、124条1項1号類推適用まで辿り着けないようになっています。そのため、汎用性のある思考過程が身につく問題だとは思いません(面白い問題だとは思います)。

 

 今日の一曲…ELLEGARDEN - Pizza Man