予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和2年予備試験民法

 こんばんは、アポロです。今日は民法の反省点について書きます。

 民法は、A評価でした(予想もA評価でした)。ただ、後述の通り、重要論点を落としているため、超上位ではないと思います(200〜300位くらい?)。

 

 〜評価されたと思われる点〜

・設問1

 ①全体のバランスがとても良かった。「原則→例外」の流れを丁寧に示す過程で、表見代理にも軽く触れた。そして、丁寧に問題提起した後、判例の規範をほぼコピペし、事実を拾いまくって当てはめた。パッと見で合格推定が働く答案を書けた。

 ②とにかく条文を引用した(設問1だけで10個)

・設問2

 ①詐欺・無資力要件・弁済期到来の当てはめを丁寧に行なった

 ②Dの害意の認定で悩みを見せ、Eの害意の認定では「親戚」という事実に着目できた

 

〜もっと上位に行くために〜

・設問1

 ①後見人の善管注意義務の条文(869条・644条)を引きたかった。善管注意義務の条文を判例が引用したことは知っていたため、周辺の条文を探しまくったが、結局見つけることができなかった。なので、代わりに858条を引用した。これはこれで間違いではないと思うが、やはり判例が引用した条文は引きたかった。論証集の条文を何となく眺めているようでは、いざという時に困るのだと痛感した。

 ②当てはめをもう少し充実させたかった。一つの事実をネチネチ評価するような当てはめになり、重要な事実を落とした。これでもAがついたのは、採点者が自分の当てはめに納得してくれたからだと思う。つまり、採点者運が良かったおかげで、事実を拾い忘れたのを文章力で誤魔化せただけ。直感で拾う事実・評価の仕方を決め打ちするのは良くないので、当てはめの前には一度立ち止まる必要がある(憲法でも同様の反省点があった)。

・設問2

 ①「詐欺取消権等が代位行使の対象となるか」という論点に触れたかった。自分は「423条1項但書、同条3項に該当する事由も特にない。」とだけ書いて終わった。その原因は、要件事実を過度に意識して答案を書いていた、という点にある。つまり、「要件事実として不要な実体法上の要件はテキトーに認定して良い(むしろすべき)」という誤った考えで答案を書いていたのである。そのため、「時効援用権の一身専属性」という論点から類推して上記論点に気づいたものの、「これは触れるべきではない」という判断をしてしまった(決して時間に追われていたわけではない)。自分の場合、要件事実的な思考で民法を解くのは、もはや有害である。そのせいで、司法試験の過去問でも失敗したことがある。普通に、実体法の問題として解くべきである。

 ②424条の6第1項を引きたかった。この条文を引けるか否かは結構見られていたと思う。短答で改正条文に強くなったつもりだったが、論文で使いこなせるレベルではなかった。短答の勉強の際、条文の適用場面をもっと具体的にイメージすべきだったのだと思う。

 ③詐害行為取消は、少し時間がなくなってきたため、全体的に要件の認定が雑になった。条文の文言の引用をしない箇所がいくつかあった。確かに、時間との関係でやむを得ない側面はあった。しかし、本問は正に要件への当てはめが問われていたのであるから、時間がないからといってそこを雑にするのはナンセンスである。試験が終わって冷静に考えた後、省略すべき部分を間違えたと思った。

 ④最後に不当利得を5行程書いたが、我ながら意味不明である。これを書いてしまった原因は、(a)「債権者代位と不当利得はセットで出てくる」と覚えていたこと、(b)書くことが少なくて不安になったこと、(c)皆が書いて自分だけ書かなかったらやばいと考えたこと、である。(c)の感覚それ自体は正しいので、これは特に問題ない。問題は、(a)と(b)である。(a)について、このようなパターン化それ自体はむしろ推奨されるが、あくまで「問いかけとの関係でそれを書くべきか」ということを前提として考えるべきである。Dは「本件登記の抹消登記手続を請求することを考えている」のに、私の答案には「不当利得(703条)に基づいて本件不動産の返還請求をする」と書いてある。採点者も、首を傾げたことだろう。採点者によっては、積極ミスとして(大)減点されてもおかしくなかったと思う。「論点に飛びつきそうになったら、一度冷静に考える」ということを徹底する必要がある。(b)については、題意を掴めていれば不安にならなかったはずである。つまり、「これは論点よりも要件への当てはめが勝負の問題だ」と気づいていれば、もっと丁寧に当てはめることで点数を伸ばせたし、余計なことを書いて心証を害することもなかった。あれだけ過去問研究をしたにもかかわらず、予備試験民法という科目の特性を全然理解できていなかった。非常にもったいないことをした。

 

〜総括〜

・正直、問題及び採点者との相性が良かっただけな気がする。令和3年予備試験民法を解いても、確実にAを取れる自信はない。ただ、論証を覚えていたのは勉強の成果といえる。民法でも意外と論証を貼るだけの問題は出るので、論証はできるだけ多く覚えるべきだと感じた。

 

〜司法試験に向けて〜

・平成25年以降の司法試験過去問を検討し、民法の感覚を取り戻す

・平成27〜28年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・短答対策をする中で出てきた条文・論点を軽く復習する(特に改正が絡むもの)

 

 

 こんな感じですかね〜。司法試験の民法については、過去問はあまり遡らない予定です。その理由としては、①改正の影響で出題趣旨・採点実感が読みづらいこと(混乱しそう)、②過去問間の関連性が比較的薄いこと、③「どう書くか」よりも「何を書くか」で勝負がつく科目であること等が挙げられます。個人的には、論文よりも短答が不安です(民法だけ配点大きいし)。なので、毎日1〜2年分だけ論文過去問を検討して、残りの時間は短答過去問をやろうと思います。