予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和3年予備試験民法

 令和3年予備試験民法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 本件ワイン売買契約

 (1) A…542Ⅰ①

 (2) B…本件ワインを引き渡すことは可能なので未だ履行不能ではない

 (3) A…特定時は飲用に適する物だった以上、劣化したことで履行不能

 (4) ○

 2 本件賃貸借契約

 (1) A…542Ⅰ⑤

 (2) B…冷蔵倉庫甲の使用には何らの支障がなくなっているので債務不履行はない

 (3) A…本件ワイン売買契約が解除されるため密接に関連する本件賃貸借契約も解除できる

  ア 判例の規範

  イ あてはめ

  ウ ○

 (4) ○

第2 設問2(1)

 1 有効性(主張②)?

 (1) 何らかの形で特定されていれば特定としては十分(判例参照)

 (2) あてはめ(倉庫内丙にある全ての酒類を目的物として特定されている)

 (3) ○

 2 第三者に対抗(主張①)?

 (1) 占有改定でも対抗要件は具備される(そうしないと譲渡担保の意味がない)

 (2) あてはめ

 (3) ○

 3 ○

第3 設問2(2)

 1 所有権留保=所有権的構成=本件ウイスキーの所有権は未だDに帰属

 2 本件の集合動産譲渡担保に搬入された時点で当然にその目的となるわけではない

 3 本件ウイスキーの転売を承諾しているが、譲渡担保に供することは承諾してない

 4 ○(主張③)

(所要時間22分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもやや難しいと思う。

 

・設問1はそれほど難しくないが、設問2はかなり難しい。私は「集合動産譲渡担保と所有権留保の優劣」について論文を書いたことがあるが、それも2年以上前なので、ほとんど忘れてしまった。そのため、出題予想していた分野であるにも関わらず、全然自信がない笑。ましてやこれについて考えたことがない人は、現場でかなり焦ったと思う。まぁ、設問2はほとんどの受験生がまともなことを書けていないと思うので、ここで失敗しても気にする必要はないと思う。

 

・設問1については、本件ワイン売買契約の部分はあまり自信がない。特定とかの議論が絡みそうな気がしたが、自分の苦手分野なのでスルーした笑。とりあえず債務不履行の有無を争点にしておけば、債務不履行解除を認めた上で、本件賃貸借契約の典型論点に流すことができる。令和3年司法試験でも債務不履行の有無だけが争点になる設問が出題されたので、本件ワイン売買契約も同様だと信じたい。いずれにせよ、本件ワイン売買契約の解除は認められるはずである。そうすれば、本件賃貸借契約は「密接に関連する2つの契約の一方のみが解除された場合」の判例の規範を貼り、普通にあてはめれば終わりである。本件賃貸借契約についても、解除は認められるべき事案だと思う。

 

・設問2(1)については、「有効性→対抗要件」の順番で論じるべきなので、「主張②→主張①」の順番で論じるべきだと思う。判例・実務の考え方からしても、本件は対抗要件を具備した有効な集合動産譲渡担保だと思う。論点というより、短答知識の問題。

 

・設問2(2)については、めちゃくちゃ難しい。予備試験受験生にいきなり現場でこれを考えさせるのはかなり酷だと思う。私が受験生なら、とりあえずこの設問は飛ばして商法・民訴に時間を使い、余った時間でテキトーに書く。私は答案構成に書いたことくらいしか思いつかなかったが、こんな単純な議論ではなかった気もする。いずれにせよ、ここができなくても合否には全く影響しないと思われる。最悪のパターンは、この設問に時間をかけすぎてしまうこと。

 

・得点のポイントは、①設問1では典型論点の論証を丁寧に書き丁寧にあてはめること、②設問2(1)では有効性と対抗要件の議論をしっかり分けて短答知識から簡潔に書くこと、③設問2(2)では所有権留保の性質等から論理的に考えた自分なりの結論を導き出すこと、の3点である。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、①ができていることを前提に、②に短答知識で食らいつけたかどうかだと思う。①さえ拾えていれば、少なくともFはつかないと思う。これに加えて、③でも一定レベルの論述ができれば(正しい論述である必要は全くないが実質白紙みたいなレベルではないという意味)、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。個人的に設問2(2)は過去最難関レベルの問題だと思うので、予想以上に評価が良い人が続出しそうな問題です。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。