予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

平成27年予備試験刑事訴訟法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活14日目、今日は平成27年予備試験刑事訴訟法を解きました。

 完全な初見ではないですが、実際に書いたのは初めてです。かかった時間は48分でした。

 

〜選んだ解答筋〜

・設問1…強制処分該当性→捜索差押えに伴う写真撮影の適法性→①②は適法、③は違法

・設問2…伝聞証拠該当性→伝聞例外該当性→321Ⅲ→証拠能力あり

 

〜個人的な反省〜

・令状呈示の条文(222条1項本文・110条)を落とした。

・321条3項の「書面」に該当すれば直ちに証拠能力が認められるかのように書いてしまった。

 

〜問題の分析〜

・設問1は超基本的な論点で簡単。設問2はやや難。

・設問1について、捜索差押えに伴う写真撮影については、改めて解説することは特にない。

・設問2について、正直なところ、「正解」はよくわからないが、合格レベルの答案を書くこと自体は難しくない。

 まず、書面全体(Pの説明部分)の伝聞証拠該当性が問題となる。結論として、伝聞証拠に当たるというべきである。立証趣旨・要証事実が問題文からよくわからないので、自分で設定する必要がある。問題文には「サバイバルナイフと甲の結び付きを立証したいと考えた」とあるから、要証事実は「サバイバルナイフと甲の運転免許証等が同じ引き出しに保管されていたこと」などとなる。かかる間接事実を立証すれば、「甲の犯人性」という主要事実の存在が強く推認される。この辺りの証拠構造を正確に説明できている答案は少ないので、ここを丁寧に説明できると一気に差をつけられる。要証事実を設定しなかったり、「サバイバルナイフと甲の結び付き」が要証事実としたり、「甲の犯人性」を要証事実としたりすれば、証拠構造の理解が疑われてしまう。要証事実の設定を間違えなければ、伝聞証拠に当たることは一見して明白である。なお、「Pの説明部分は写真撮影の動機を与える指示説明にすぎない」などと言って非伝聞ということはできない。写真自体の情報が多くない以上、Pの説明なしに上記の要証事実を証明することは困難だからである。やはりPの説明内容が真実であって初めて要証事実を証明できるので、伝聞証拠に当たる。出題趣旨にも「伝聞法則とその例外」と書かれているから、ここで非伝聞とするのはまずい。

 次に、伝聞例外該当性を検討することになるが、321条3項と321条1項3号のいずれを適用すべきか問題となる。結論として、「321条3項の趣旨から考えて、同項の『書面』に含まれるとし、真正作成供述をすれば伝聞例外として証拠能力を有する」という筋が最も無難であった。問題文があえて「検証調書」とも「実況見分調書」とも書いていないことからすれば、多くの受験生は、正にそこが問題なのだろうと気づく。そういう中で強引に「これは『検証』である」等と決め付けて何の悩みも見せずに同項を適用するのは危険である。判例は捜査官が対象の状態を観察して結果を記録した書面一般を「書面」と認めていることを理解していれば、これが検証であると認定する必要もない。「検証の性質を有する」などと認定した上で、同項の趣旨が及ぶとして適用を肯定するのが最も安全である。なお、実務的には、本件の書面は321条1項3号として伝聞例外を検討するのが適切である、という指摘があった。しかし、正直そんなことはどうでもいい。出題者はそんな実務的な知識を聞きたいわけではなく、「具体的事案における応用力」(出題趣旨より)を問うているのである。むしろ、何の理由も付さずに321条1項3号の伝聞例外要件から検討する方が問題である。第一に321条3項を検討すべきであり、それを否定してから321条1項3号を検討すべきである。少なくとも、検察官の思考過程としてはそうなるはずである。ただ、試験の現場で本件の書面に321条3項が適用できないことを説得的に説明できる受験生はいるのであろうか。少なくとも、私がある程度時間を費やして考えてみても、321条3項の適用を否定すべき積極的理由は見当たらなかった。

 最後に、写真自体は非供述証拠であり、書面と一体のものとして証拠能力は認められることを述べる。

 

〜予想採点実感〜

・平成21年新司法試験刑事系科目第2問において、捜索差押えに伴う写真撮影も321条3項も出題されているため、そちらの出題趣旨・採点実感を参照。

 

 

 こんな感じですかね〜。本問は、予備試験の刑訴では珍しく、現場思考問題が出題されました。大切なのは、まずは設問2が現場思考問題であることに気づけるくらいには勉強すること(事前の準備)、そして、「設問1をしっかり書いて、設問2は趣旨から考えて逃げる」と現場で割り切れること(現場の振る舞い)、かと思います。仮に321条3項を適用するのが誤りだとしても、趣旨から考えていることを答案上に示せれば、それなりに加点されるはずです。少なくとも、当然のように321条1項3号のみを検討した人よりは高く評価されはずです。そのような意味で、受験戦略のエッセンスが詰まっている問題な気がします。良問です!

 

 今日の一曲…BUMP OF CHICKEN - 記念撮影