予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

予備試験短答から論文までの過ごし方

 こんばんは、アポロです。先ほど、後輩から「予備試験短答から論文までの過ごし方」について質問を受けました。これは自分も当時悩んで、色んな人の意見を参考にしつつ計画を立てました。そこで、今日は「私の短答から論文までの過ごし方」「やって良かったこと」「やるべきではなかったこと」「Q&A」について書きます。短答に合格された方は急いで論文までの計画を立てていると思われるので、参考になる部分があれば嬉しいです。

 あと、初めに言っておきますが、私はかなり手を広げています。現に、1日に何冊も参考書をハシゴしています。ただ、私のいう「復習」は、「本当に重要な部分・今年出そうな部分・不安な部分・苦手な部分に絞ってザッと読む」という感じで高速回転させているだけなので、それほど精度の高い復習ではありません(だからこそこれだけ手を広げても何とかなっています)。また、夏休み期間中だったので、勉強時間を確保するのは容易でした。よって、それらの点は参考にならない可能性があるので、ご了承下さい。

 また、令和2年は短答から論文までの期間が例年より少し長かったので、その点もご了承下さい。

 

 

〜私の短答から論文までの過ごし方〜

 

①1週目(8.17〜23)

・論文直前答練をペースメーカーにして、憲法行政法の復習をした。

・8.17…憲法の論証・旧司過去問・新司過去問1問を見直しただけ(4時間)。

・8.18…行政法の論証を見直してから、論文直前答練の公法1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11時間)。

・8.19…行政法の論証・『基礎演習行政法』・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(12.5時間)。

・8.20…論文直前答練の公法2を解いてから、憲法の新司過去問を見直した(11.5時間)。

・8.21…憲法行政法の苦手分野だけ軽く復習した(4時間)。

・8.22…論文直前答練の公法3を解いてから、遂に憲法の百選に手を出した(11.5時間)。

・8.23…論文直前答練の公法4を解いただけ(4時間)。

 

②2週目(8.24〜30)

・論文直前答練をペースメーカーにして、民法・商法・民訴の復習をした。

・8.24…民法の論証・旧司過去問を復習した(10時間)。

・8.25…商法・民訴の論証を見直してから、論文直前答練の民事1を解いた。その後は『事例で考える会社法』・『会社法事例演習教材』・会社法の百選を復習した(12時間)。

・8.26…会社法の百選(続き)・旧司過去問・新司過去問・予備過去問・平成26年改正で加わった条文を広く浅く復習した(14時間)。

・8.27…民訴の論証を見直してから、論文直前答練の民事2を解いた。その後は『ロジカル演習民事訴訟法』・『リーガルクエス民事訴訟法』・民訴の百選・『ロースクール演習民事訴訟法』を広く浅く復習した(13.5時間)。

・8.28…民訴の論証・旧司過去問・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(10.5時間)。

・8.29…民法の論証を見直してから、論文直前答練の民事3を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12.5時間)。

・8.30…商法の論証を見直してから、論文直前答練の民事4を解いた。その後は刑法・刑訴の平成29年の新司過去問を見直した(12.5時間)。

 

③3週目(8.31〜9.6)

・論文直前答練をペースメーカーにして、刑法・刑訴の復習をした。

・8.31…刑法・刑訴の平成30年・令和元年の新司過去問を見直した(4時間)。

・9.1…刑法・刑訴の論証を見直してから、論文直前答練の刑事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12.5時間)。

・9.2…『刑法総論の悩みどころ』・旧司過去問・『刑法事例演習教材』・予備過去問を広く浅く復習した(13時間)。

・9.3…刑訴の論証を見直してから、論文直前答練の刑事2を解いた。その後は刑訴の百選・『リーガルクエス刑事訴訟法』・『ロースクール演習刑事訴訟法』を広く浅く復習した(14.5時間)。

・9.4…刑訴の旧司過去問・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(12時間)。

・9.5…論文直前答練の刑事3を解いてから、刑訴の百選を見直した(11.5時間)。

・9.6…論文直前答練の刑事4を解いただけ(5.5時間)。

 

④4週目(9.7〜13)

慶應ロー過去問を解き、入試を受けただけなので、割愛。

 

⑤5週目(9.14〜20)

・「新しい問題を書きたい」と感じたので、辰巳の論文予想答練を受け始めた。

・9.14…憲法行政法の論証を見直してから、論文予想答練の公法1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11時間)。

・9.15…民法・商法・民訴の論証を見直してから、論文予想答練の民事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(14時間)。

・9.16…刑法・刑訴の論証を見直してから、論文予想答練の刑事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11.5時間)。

・9.17…論文予想答練の般教1・実務1 を解いてから、大島本・伊藤塾の赤本(民事)を広く浅く復習した(9時間)。

・9.18…論文直前答練の実務1を解いてから、口述過去問を見直した(14時間)。

・9.19…論文直前答練の実務2を解いてから、口述過去問(続き)・定石本・伊藤塾の赤本(刑事)を見直した(12時間)。

・9.20…論文直前答練の般教1・2を解いてから、般教の過去問(再現答案)の分析をした(8時間)。

 

⑥6週目(9.21〜27)

・論文予想答練と伊藤塾の論文模試(第1回)を受けて、ひたすら答案を書いた。

・9.21…憲法判例50に手を出してから、論文予想答練の公法2を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12時間)。

・9.22…会社法判例40に手を出してから、論文予想答練の民事2を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(14時間)。

・9.23…論文予想答練の刑事2を解いてから、そこで発見した苦手分野の復習に徹した(10.5時間)。

・9.24…論文予想答練の般教2・実務2を解いてから、そこで発見した苦手分野の復習に徹した(9時間)。

・9.25…全科目の論証等を高速で総復習した(7時間)。

・9.26〜27…伊藤塾の論文模試(第1回)を受けた。

 

⑦7週目(9.28〜10.4)

・模試の復習をして、旧司過去問を総復習し、さらに模試を2回受けた。

・9.28…模試の復習をしてから、令和2年の短答の復習をした(10時間)。

・9.29…全科目の旧司過去問を広く浅く復習する日①とした(11.5時間)。

・9.30…全科目の旧司過去問を広く浅く復習する日②とした(6.5時間)。

・10.1…伊藤塾の論文模試(第2回、基本7科目のみ)を1日で受けて復習もした(12時間)。

・10.2…全科目の論証等を高速で総復習した(9時間)。

・10.3〜4…辰巳の論文模試を受けた。

 

⑧8週目(10.5〜11)

・模試の復習をしてから、全科目の予備過去問・答練の総復習をした。

 ・10.5…模試の復習をしてから、手形法を見直した(9時間)。

・10.6…憲法の予備過去問・答練を総復習した(9時間)。

・10.7…行政法の予備過去問・答練を総復習した(9時間)。

・10.8…民法の予備過去問・答練・改正分野を総復習した(13.5時間)。

・10.9…商法の予備過去問・答練・条文を総復習した(11.5時間)。

・10.10…民訴の予備過去問・答練・新司過去問を総復習した(12時間)。

・10.11…刑法の予備過去問・新司採点実感・答練・『刑法事例演習教材』・構成要件の定義を総復習した(13.5時間)。

 

⑨9週目(10.12〜18)

・全科目の予備過去問・答練の総復習をしてから、令和元年予備過去問を書いた。

・10.12…刑訴の予備過去問・答練・『ロースクール演習刑事訴訟法』を総復習した(12.5時間)。

・10.13…実務の予備過去問・答練を総復習した(10時間)。

・10.14…全科目の答練・新司過去問を広く浅く復習した(11.5時間)。

・10.15…憲法の百選を見直してから、憲法行政法の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は憲法の百選(続き)・判例50・新司過去問を見直した(12.5時間)。

・10.16…刑訴の百選を見直してから、刑法・刑訴の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は刑訴の新司過去問を見直した(16時間)。

・10.17…実務の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いてから、大島本・定石本・模試の復習をした(10時間)。

・10.18…民訴の百選を見直してから、民法・商法・民訴の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は民訴の新司過去問を見直した(13時間)。

 

⑩10週目(10.19〜25)

・最後の高速総復習をした。

・10.19…民法・商法・民訴の旧司過去問・『事例で考える会社法』・『会社法事例演習教材』・商法・民訴の論証を広く浅く復習した(10.5時間)。

・10.20…憲法の旧司過去問・答練・最新判例を見直した(7.5時間)。

・10.21…刑法・刑訴の旧司過去問・『刑法事例演習教材』・刑法・刑訴の論証を見直した(10時間)。

・10.22…伊藤塾の赤本・定石本・答練・法曹倫理・基礎M・民法の論証を見直した(9時間)。

・10.23…全科目の論証等を高速で総復習した(9.5時間)。

・10.24〜25…予備試験論文式試験

 

 

〜やって良かったこと〜

 

・答練や模試をペースメーカーにして、網羅的な復習を高速で何回も繰り返したこと。これにより、穴のない確実な知識が血肉になった。

・答練や模試を受けまくったこと。これにより、「アウトプット→失敗→抽象化」のサイクルを繰り返し、時間感覚・筆力・テクニックが研ぎ澄まされた。

民法・商法は、改正分野の条文を何度か読んだこと。これにより、本番では多重代表訴訟を完璧に書けた。

・般教も過去問(再現答案)を研究したこと。これにより、どういう答案が評価されやすいのか、あるいはされづらいのかがわかった。

・予備過去問を研究し尽くしたこと。これにより、本番ではどういう部分に配点があるのかが手に取るようにわかった(行政法・民訴を除く)。

 

 

〜やるべきではなかったこと〜

 

・あまりに手を広げすぎたこと。これにより、一冊あたりの参考書に割ける時間が限られていた。

・「ヤマ当て」をしようと百選等の判例集を追加で購入したこと。これにより、基礎から離れたマニアックな学習に足を踏み入れかけた。

・無駄に音読をしまくったこと。司法試験前に気づいたが、自分の場合は、黙読の方が記憶に定着させる上でコスパが良かった。音読は時間がかかりすぎる。

・書き方が定まらない論点をフワフワしたままギリギリまで放置したこと。書き方に迷う論点は、自分が納得いく論証を早めに確立しておくべきだった。

・新司過去問の復習に時間をかけすぎたこと。商法と民訴は、1回確認するくらいで十分だった。

 

〜Q&A〜

 

Q.答案はどのくらいの頻度で書くべきか?

A.人にもよるが、答案を書く頻度自体は気にする必要はない。それよりも、まずは「何を書くか」「それらをいつ・どういうペースで書くか」ということを決める、という思考過程の方が良いと思う。ここで、最低限書きたいのは、論文直前答練or論文予想答練論文模試直近の予備試験過去問(今年なら令和2年)、である。余裕があれば、それ以前の再度の出題可能性が高そうな過去問も書きたい。あとは、論文までの可処分時間を考慮して、適切なペースに自分なりに分配して計画を立てれば良い。それが、「自分にとっての正しい頻度」と考えて良いと思う。書くことそれ自体は、本番で最高の答案を書けるようになるための手段であり、目的ではない

 

Q.やるべき問題の優先順位は?

A.優先順位が高い順に、①予備過去問、②旧司過去問、③答練・模試、④有名な演習書一冊、⑤新司過去問、だと思う。③答練・模試については、ペースメーカー・時間感覚・テクニック・相対的実力を知るという意味では有効な手段なので、積極的に受けるべき。ただ、答練・模試に慣れすぎると予備試験等の「本物の問題」のクセを忘れる可能性があるので、答練・模試ばかり解くことは危険。「本番はもっと◯◯だよね」というのを言語化するクセをつけるなどして、答練・模試と「本物の問題」の違いを意識した上で、有効活用すること

 

Q.既に予備過去問は解いたが、復習の際、答案構成でいいのか、それとも書くべきか?

A.科目別に答えるが、結論から言うと、①令和2年は書くべき(特に憲法、②再度の出題可能性が高そうな年度も書くべきで、③他は基本的に問題文と解答例を読めば十分だが、④民法・商法は事案と条文・論点を把握する練習をすべき、⑤刑法は答案構成まで全部すべき、と考える。

憲法は、令和元年か2年は答案作成すべきで、他は軽く見れば十分。

行政法は、今年出そうな分野が出た年度(例えば今年なら原告適格が出た令和元年等)は書き直すべきで、他は軽く見て理解できれば十分。

刑法は、平成26年・29年等は時間的にシビアなので練習として書くべきだが、他は答案構成で十分。

刑訴は、強制捜査や伝聞が出た平成26年等は書くべきで、他はしっかり見れば十分。

般教は、LECの市販の再現答案集を読み、「なぜこの答案の評価はAなのか」などを分析さえすれば、書かなくいいし、答案構成等も不要(答練・模試で添削を受ける方が重要)。

民事実務は準備書面の部分・刑事実務は近年の事実認定問題は書くべきで、他の設問は問題を見て口頭で答えられれば十分。

民法は、複雑な事案を図に書いて条文・論点を把握する練習はすべきだが、答案構成は余裕があればで良くて、答案作成は不要。

商法は、平成30年のように利益相反取引・役員の責任などの超重要論点が中心の年度は答案構成すべきだが、他は事案分析ができれば十分。

民訴は、問題と解答をしっかり見て理解できれば十分

 

 

 こんな感じですかね〜。もちろんこれが「正解」等と言うつもりはないので、自分にとって参考になりそうな部分だけをつまみ食いして、この勢いで論文も受かっちゃって下さい!