予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

予備試験短答から論文までの過ごし方

 こんばんは、アポロです。先ほど、後輩から「予備試験短答から論文までの過ごし方」について質問を受けました。これは自分も当時悩んで、色んな人の意見を参考にしつつ計画を立てました。そこで、今日は「私の短答から論文までの過ごし方」「やって良かったこと」「やるべきではなかったこと」「Q&A」について書きます。短答に合格された方は急いで論文までの計画を立てていると思われるので、参考になる部分があれば嬉しいです。

 あと、初めに言っておきますが、私はかなり手を広げています。現に、1日に何冊も参考書をハシゴしています。ただ、私のいう「復習」は、「本当に重要な部分・今年出そうな部分・不安な部分・苦手な部分に絞ってザッと読む」という感じで高速回転させているだけなので、それほど精度の高い復習ではありません(だからこそこれだけ手を広げても何とかなっています)。また、夏休み期間中だったので、勉強時間を確保するのは容易でした。よって、それらの点は参考にならない可能性があるので、ご了承下さい。

 また、令和2年は短答から論文までの期間が例年より少し長かったので、その点もご了承下さい。

 

 

〜私の短答から論文までの過ごし方〜

 

①1週目(8.17〜23)

・論文直前答練をペースメーカーにして、憲法行政法の復習をした。

・8.17…憲法の論証・旧司過去問・新司過去問1問を見直しただけ(4時間)。

・8.18…行政法の論証を見直してから、論文直前答練の公法1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11時間)。

・8.19…行政法の論証・『基礎演習行政法』・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(12.5時間)。

・8.20…論文直前答練の公法2を解いてから、憲法の新司過去問を見直した(11.5時間)。

・8.21…憲法行政法の苦手分野だけ軽く復習した(4時間)。

・8.22…論文直前答練の公法3を解いてから、遂に憲法の百選に手を出した(11.5時間)。

・8.23…論文直前答練の公法4を解いただけ(4時間)。

 

②2週目(8.24〜30)

・論文直前答練をペースメーカーにして、民法・商法・民訴の復習をした。

・8.24…民法の論証・旧司過去問を復習した(10時間)。

・8.25…商法・民訴の論証を見直してから、論文直前答練の民事1を解いた。その後は『事例で考える会社法』・『会社法事例演習教材』・会社法の百選を復習した(12時間)。

・8.26…会社法の百選(続き)・旧司過去問・新司過去問・予備過去問・平成26年改正で加わった条文を広く浅く復習した(14時間)。

・8.27…民訴の論証を見直してから、論文直前答練の民事2を解いた。その後は『ロジカル演習民事訴訟法』・『リーガルクエス民事訴訟法』・民訴の百選・『ロースクール演習民事訴訟法』を広く浅く復習した(13.5時間)。

・8.28…民訴の論証・旧司過去問・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(10.5時間)。

・8.29…民法の論証を見直してから、論文直前答練の民事3を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12.5時間)。

・8.30…商法の論証を見直してから、論文直前答練の民事4を解いた。その後は刑法・刑訴の平成29年の新司過去問を見直した(12.5時間)。

 

③3週目(8.31〜9.6)

・論文直前答練をペースメーカーにして、刑法・刑訴の復習をした。

・8.31…刑法・刑訴の平成30年・令和元年の新司過去問を見直した(4時間)。

・9.1…刑法・刑訴の論証を見直してから、論文直前答練の刑事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12.5時間)。

・9.2…『刑法総論の悩みどころ』・旧司過去問・『刑法事例演習教材』・予備過去問を広く浅く復習した(13時間)。

・9.3…刑訴の論証を見直してから、論文直前答練の刑事2を解いた。その後は刑訴の百選・『リーガルクエス刑事訴訟法』・『ロースクール演習刑事訴訟法』を広く浅く復習した(14.5時間)。

・9.4…刑訴の旧司過去問・新司過去問・予備過去問を広く浅く復習した(12時間)。

・9.5…論文直前答練の刑事3を解いてから、刑訴の百選を見直した(11.5時間)。

・9.6…論文直前答練の刑事4を解いただけ(5.5時間)。

 

④4週目(9.7〜13)

慶應ロー過去問を解き、入試を受けただけなので、割愛。

 

⑤5週目(9.14〜20)

・「新しい問題を書きたい」と感じたので、辰巳の論文予想答練を受け始めた。

・9.14…憲法行政法の論証を見直してから、論文予想答練の公法1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11時間)。

・9.15…民法・商法・民訴の論証を見直してから、論文予想答練の民事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(14時間)。

・9.16…刑法・刑訴の論証を見直してから、論文予想答練の刑事1を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(11.5時間)。

・9.17…論文予想答練の般教1・実務1 を解いてから、大島本・伊藤塾の赤本(民事)を広く浅く復習した(9時間)。

・9.18…論文直前答練の実務1を解いてから、口述過去問を見直した(14時間)。

・9.19…論文直前答練の実務2を解いてから、口述過去問(続き)・定石本・伊藤塾の赤本(刑事)を見直した(12時間)。

・9.20…論文直前答練の般教1・2を解いてから、般教の過去問(再現答案)の分析をした(8時間)。

 

⑥6週目(9.21〜27)

・論文予想答練と伊藤塾の論文模試(第1回)を受けて、ひたすら答案を書いた。

・9.21…憲法判例50に手を出してから、論文予想答練の公法2を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(12時間)。

・9.22…会社法判例40に手を出してから、論文予想答練の民事2を解いた。そこで苦手分野を発見したので、その復習に徹した(14時間)。

・9.23…論文予想答練の刑事2を解いてから、そこで発見した苦手分野の復習に徹した(10.5時間)。

・9.24…論文予想答練の般教2・実務2を解いてから、そこで発見した苦手分野の復習に徹した(9時間)。

・9.25…全科目の論証等を高速で総復習した(7時間)。

・9.26〜27…伊藤塾の論文模試(第1回)を受けた。

 

⑦7週目(9.28〜10.4)

・模試の復習をして、旧司過去問を総復習し、さらに模試を2回受けた。

・9.28…模試の復習をしてから、令和2年の短答の復習をした(10時間)。

・9.29…全科目の旧司過去問を広く浅く復習する日①とした(11.5時間)。

・9.30…全科目の旧司過去問を広く浅く復習する日②とした(6.5時間)。

・10.1…伊藤塾の論文模試(第2回、基本7科目のみ)を1日で受けて復習もした(12時間)。

・10.2…全科目の論証等を高速で総復習した(9時間)。

・10.3〜4…辰巳の論文模試を受けた。

 

⑧8週目(10.5〜11)

・模試の復習をしてから、全科目の予備過去問・答練の総復習をした。

 ・10.5…模試の復習をしてから、手形法を見直した(9時間)。

・10.6…憲法の予備過去問・答練を総復習した(9時間)。

・10.7…行政法の予備過去問・答練を総復習した(9時間)。

・10.8…民法の予備過去問・答練・改正分野を総復習した(13.5時間)。

・10.9…商法の予備過去問・答練・条文を総復習した(11.5時間)。

・10.10…民訴の予備過去問・答練・新司過去問を総復習した(12時間)。

・10.11…刑法の予備過去問・新司採点実感・答練・『刑法事例演習教材』・構成要件の定義を総復習した(13.5時間)。

 

⑨9週目(10.12〜18)

・全科目の予備過去問・答練の総復習をしてから、令和元年予備過去問を書いた。

・10.12…刑訴の予備過去問・答練・『ロースクール演習刑事訴訟法』を総復習した(12.5時間)。

・10.13…実務の予備過去問・答練を総復習した(10時間)。

・10.14…全科目の答練・新司過去問を広く浅く復習した(11.5時間)。

・10.15…憲法の百選を見直してから、憲法行政法の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は憲法の百選(続き)・判例50・新司過去問を見直した(12.5時間)。

・10.16…刑訴の百選を見直してから、刑法・刑訴の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は刑訴の新司過去問を見直した(16時間)。

・10.17…実務の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いてから、大島本・定石本・模試の復習をした(10時間)。

・10.18…民訴の百選を見直してから、民法・商法・民訴の令和元年予備過去問を本番と同じ時間に解いた。その後は民訴の新司過去問を見直した(13時間)。

 

⑩10週目(10.19〜25)

・最後の高速総復習をした。

・10.19…民法・商法・民訴の旧司過去問・『事例で考える会社法』・『会社法事例演習教材』・商法・民訴の論証を広く浅く復習した(10.5時間)。

・10.20…憲法の旧司過去問・答練・最新判例を見直した(7.5時間)。

・10.21…刑法・刑訴の旧司過去問・『刑法事例演習教材』・刑法・刑訴の論証を見直した(10時間)。

・10.22…伊藤塾の赤本・定石本・答練・法曹倫理・基礎M・民法の論証を見直した(9時間)。

・10.23…全科目の論証等を高速で総復習した(9.5時間)。

・10.24〜25…予備試験論文式試験

 

 

〜やって良かったこと〜

 

・答練や模試をペースメーカーにして、網羅的な復習を高速で何回も繰り返したこと。これにより、穴のない確実な知識が血肉になった。

・答練や模試を受けまくったこと。これにより、「アウトプット→失敗→抽象化」のサイクルを繰り返し、時間感覚・筆力・テクニックが研ぎ澄まされた。

民法・商法は、改正分野の条文を何度か読んだこと。これにより、本番では多重代表訴訟を完璧に書けた。

・般教も過去問(再現答案)を研究したこと。これにより、どういう答案が評価されやすいのか、あるいはされづらいのかがわかった。

・予備過去問を研究し尽くしたこと。これにより、本番ではどういう部分に配点があるのかが手に取るようにわかった(行政法・民訴を除く)。

 

 

〜やるべきではなかったこと〜

 

・あまりに手を広げすぎたこと。これにより、一冊あたりの参考書に割ける時間が限られていた。

・「ヤマ当て」をしようと百選等の判例集を追加で購入したこと。これにより、基礎から離れたマニアックな学習に足を踏み入れかけた。

・無駄に音読をしまくったこと。司法試験前に気づいたが、自分の場合は、黙読の方が記憶に定着させる上でコスパが良かった。音読は時間がかかりすぎる。

・書き方が定まらない論点をフワフワしたままギリギリまで放置したこと。書き方に迷う論点は、自分が納得いく論証を早めに確立しておくべきだった。

・新司過去問の復習に時間をかけすぎたこと。商法と民訴は、1回確認するくらいで十分だった。

 

〜Q&A〜

 

Q.答案はどのくらいの頻度で書くべきか?

A.人にもよるが、答案を書く頻度自体は気にする必要はない。それよりも、まずは「何を書くか」「それらをいつ・どういうペースで書くか」ということを決める、という思考過程の方が良いと思う。ここで、最低限書きたいのは、論文直前答練or論文予想答練論文模試直近の予備試験過去問(今年なら令和2年)、である。余裕があれば、それ以前の再度の出題可能性が高そうな過去問も書きたい。あとは、論文までの可処分時間を考慮して、適切なペースに自分なりに分配して計画を立てれば良い。それが、「自分にとっての正しい頻度」と考えて良いと思う。書くことそれ自体は、本番で最高の答案を書けるようになるための手段であり、目的ではない

 

Q.やるべき問題の優先順位は?

A.優先順位が高い順に、①予備過去問、②旧司過去問、③答練・模試、④有名な演習書一冊、⑤新司過去問、だと思う。③答練・模試については、ペースメーカー・時間感覚・テクニック・相対的実力を知るという意味では有効な手段なので、積極的に受けるべき。ただ、答練・模試に慣れすぎると予備試験等の「本物の問題」のクセを忘れる可能性があるので、答練・模試ばかり解くことは危険。「本番はもっと◯◯だよね」というのを言語化するクセをつけるなどして、答練・模試と「本物の問題」の違いを意識した上で、有効活用すること

 

Q.既に予備過去問は解いたが、復習の際、答案構成でいいのか、それとも書くべきか?

A.科目別に答えるが、結論から言うと、①令和2年は書くべき(特に憲法、②再度の出題可能性が高そうな年度も書くべきで、③他は基本的に問題文と解答例を読めば十分だが、④民法・商法は事案と条文・論点を把握する練習をすべき、⑤刑法は答案構成まで全部すべき、と考える。

憲法は、令和元年か2年は答案作成すべきで、他は軽く見れば十分。

行政法は、今年出そうな分野が出た年度(例えば今年なら原告適格が出た令和元年等)は書き直すべきで、他は軽く見て理解できれば十分。

刑法は、平成26年・29年等は時間的にシビアなので練習として書くべきだが、他は答案構成で十分。

刑訴は、強制捜査や伝聞が出た平成26年等は書くべきで、他はしっかり見れば十分。

般教は、LECの市販の再現答案集を読み、「なぜこの答案の評価はAなのか」などを分析さえすれば、書かなくいいし、答案構成等も不要(答練・模試で添削を受ける方が重要)。

民事実務は準備書面の部分・刑事実務は近年の事実認定問題は書くべきで、他の設問は問題を見て口頭で答えられれば十分。

民法は、複雑な事案を図に書いて条文・論点を把握する練習はすべきだが、答案構成は余裕があればで良くて、答案作成は不要。

商法は、平成30年のように利益相反取引・役員の責任などの超重要論点が中心の年度は答案構成すべきだが、他は事案分析ができれば十分。

民訴は、問題と解答をしっかり見て理解できれば十分

 

 

 こんな感じですかね〜。もちろんこれが「正解」等と言うつもりはないので、自分にとって参考になりそうな部分だけをつまみ食いして、この勢いで論文も受かっちゃって下さい!

TKC司法試験 全国統一模試

 こんにちは、アポロです。

 先ほど『TKC司法試験 全国統一模試』の答案が返却されたので、その反省と今後の勉強の指針について書きます。

 

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論文で失敗しましたが、余裕で合格圏内でした。

 

〜前提として〜

・この模試の評価はかなり厳しく出ている。というのも、上位10%以内に入らなければA評価・判定は出ないようになっているが、本試験ではそのような評価のされ方・合否の決め方はされていないからである。本試験では、科目別では上位1000人までがA評価をもらえ(昨年だと上位約35%)、試験自体の合格率は約40%である。

・よって、この結果を参照する際には、科目ごとの評価・判定よりも、「上位◯%」という部分に着目すべきだと考える。この数値は本試験との乖離が少ないはずであるし、より具体的に自分の相対的実力を知れるので有益である。ただ、本試験なら短答で足切りされている人も採点対象にされているので、本試験よりも良い数値が出ている可能性がある。

・また、この模試の母集団は、本試験よりも若干レベルが高いことが予想される。というのも、本当に実力がない人や不安な人は、この時期に模試を受ける気にならないはずだからである。あとは模試特有の事情として、少なからず不正をしている人もいるはずである(在宅受験が多い今年は尚更である)。

・問題の質としては、思ったよりは本試験に近かった気がする。おそらく意図的に事務処理量の多いように作られていたが、それは本試験でも求められる能力といえる。(予備校特有の)マイナー論点をしつこく聞いてくる感じもなかった。そのため、この模試と本試験の成績の相関性はそれなりにあると思われる。

・以上より、この模試の成績を分析する際には、①本試験よりも若干レベルが高い母集団の中で、②自分は上位何%だったのか、という視点が重要になる。

 

憲法〜 予想はC→結果はB(上位13.7%)

・「公共の福祉による制約→明確性の原則」という流れで論じた(体系レベルのミス)

・「自己の見解と異なる立場」からの論述が、理由がないことも多く、全体的に雑だった

・分析的に検討できず、3条1項と2項を明確に区別せずに論じてしまった

・「法令違憲の中で合憲限定解釈をする」という発想がなく、適用違憲っぽく書いてしまった

 

〜行政〜 予想はB→結果はD(上位53.4%)

・設問1は、結論は合っていたものの、知識不足で理由をテキトーに書いたたため、減点された

・設問2(1)は、公表に関する条文を見つけられず、最重要の事実を落とした

・設問2(2)は、裁量基準を論述する流れが悪い上に、的外れな反論をしてしまった

・設問3は、職権取消しに当たるとの認定をし忘れたが、撤回との区別のためにすべきだった

 

民法〜 予想はC→結果はB(上位21.0%)

・設問1は、取消権者や時効の条文を落としたし、現場で引いた条文の要件検討も甘い

・設問2(1)は、本問の特殊性に全く気づかなかったが、仕方ない(合否には影響しないはず)

・設問2(2)は、信義則という単語も出さずによくわからないことを書いた(ここは頑張れた)

・設問3は、JR東海事件の理解不足により、少しズレた論述をしてしまった

 

〜商法〜 予想はC→結果もC(上位32.9%)

・設問1(1)は、423条3項を落とした結果として大きく失点したので、とても反省している

・設問1(2)も、428条2項を落とした結果として大きく失点した

・設問2は、「Yは原則として丙に対して請求できない」という大前提を書き忘れたので、反省

・設問3(1)(2)は、現場思考で逃げ切れたが、手続や条文の趣旨はもう少し正確に書きたかった

 

〜民訴〜 予想はB→結果もB(上位23.7%)

・設問1は、権利自白に気づかず少しズレた論述をしたので、権利自白には要注意

・設問2課題1は、特に問題なし

・設問2課題2は、積極的釈明という論点の理解が少し甘かったので、復習する

・設問3は、特に問題なし

 

刑法〜 予想はA→結果はC(上位37.8%)

・設問1は、論じる実益がないと勘違いし、公務振り分け説を雑に書いてしまった

・設問2第1暴行は、これも論じる実益がないと勘違いし、共同正犯の要件をスルーした

・設問2第2暴行は、抽象的事実の錯誤の論述が雑(というか不正確)だった

・設問3は、時間不足に陥り、前提として論じるべき共謀の射程をスルーした

 

〜刑訴〜 予想はA→結果もA(上位5.6%)

・設問1小問1は、書き方にやや苦戦したが、知識を絞り出して何とか書けた

・設問1小問2は、途中までよくわからず、現行犯逮捕が可能だったことへの評価が雑になった

・設問2は、要証事実の設定を間違い、やはり伝聞は難しいと感じたので、復習する

・設問3は、特に問題なし

 

〜経済法(第1問)〜 予想はA→結果はB(上位16.2%)

・設問1は、一般論に終始している部分があり、具体的事実を使いこなせていない

・設問2は、設問1でダラダラ書いたせいで紙幅不足に陥ったので、もっとコンパクトに書く

 

〜経済法(第2問)〜 予想はB→結果はA(上位1.0%)

・設問1は、市場画定と競争制限効果の検討が雑になった(再販売価格拘束は雑になりがち)

・設問2は、自由競争減殺も競争の実質的制限も認めたが、間違っているらしいので復習する

 

〜総括〜

・短答のおかげで総合成績は良いが、論文の成績(特に民事系)は酷い

・予想よりも大幅に評価が悪かった行政法は要注意な科目といえる(予備論文の悪夢が…)

行政法は、「重要な条文・事実の摘示」や「裁量論の流れ」という部分で失点している

・経済法・短答は、時間を割いてきた分の成果が出てきたので、これからもコツコツ継続する

 

〜今後の勉強の指針〜

・とにかく「穴をなくす勉強」をする

・定義・論証を徹底的に暗記する

・自説を確認し、ブレないように気を付ける

・予備試験や新司法試験の過去問等に既出の論点は、当てはめレベルまで確認する

 

 

 こんな感じですかね〜。母数を単純に2.5倍すれば220位くらいの成績になります。上位合格とは言えない成績ですが、とりあえず安心しました。というのも、個人的に「論文で大失敗した」と思っていたので、それでこの成績だったということは、よほどのことがない限り本番も落ちない気がするからです。当初は「司法試験でも無双するぜ!」という感じでしたが、最近は「まぁ、受かればいいや」という気持ちになってます笑。その原因は、単純に法律だけを勉強する日々に飽きてきたこと、言い換えれば、司法試験後の日々が楽しみすぎるということにあります。とはいえ、油断をすれば普通に落ちかねないので、残り期間は基礎・基本の復習に徹しようと思います。勉強の強度を落とすべき時期だと思うので、リラックスしながら網羅的な復習を繰り返します。

令和2年予備試験刑事訴訟法

 こんばんは、アポロです。今日は刑事訴訟法の反省点について書きます。

 刑訴は、A評価でした(予想もA評価でした)。ただ、後述のように、公訴事実の狭義の同一性を検討してしまったため、超上位ではないと思います(100〜200位くらい?)。

 

〜評価されたと思われる点〜

判例を意識して論述できた。これに尽きる。

 

〜もっと上位に行くために〜

・「公訴事実の同一性」についての理解が正確であれば、単一性を検討することができた。ただ、イレギュラーな出題であったことを考慮すれば、仕方がない気はする。

 

〜総括〜

判例及びその背後にある理論の理解を深めることが高得点に直結する。

 

〜司法試験に向けて〜

・司法試験過去問を総復習し、刑訴の感覚を取り戻す

平成24年・27年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・重要判例・理論(特に学説対立のある論点)に絞って深く復習する

 

 

 こんな感じですかね〜。あまり汎用性のある問題ではないので、汎用性のある反省点もあまりないです。ただ、知識の精度で勝負がつく出題自体は頻繁にされるので、改めて判例知識及びその背後にある理論の理解を再確認する契機になりました。刑訴も確実に上位Aを取りたいので、油断せずに勉強します!

令和2年予備試験刑法

 こんばんは、アポロです。今日は刑法の反省点について書きます。

 刑法は、A評価でした(予想もA評価でした)。ほぼ間違いなく、超上位だと思います(一桁順位と予想)。そもそも、私は各科目の評価に比して順位が良すぎます。各科目の評価だけなら、100位前後でもおかしくないです。それでも2桁前半の順位だったのは、いくつかの科目で超上位のAを取ったからだと考えるのが合理的です。そうなると、唯一絶対的な自信があった刑法が40点前後だったのでは、という推測が立ちます。Aを取った科目のうち刑法以外の4つは、いずれもそれなりに大きなミスをしています。なので、私の論文順位には、刑法が超上位だったことが大きく影響していると思われます。

 

〜評価されたと思われる点〜

・「欺」く行為の事実認定は、間違いなく高評価だと思う。せっかくなので、以下に再現答案の抜粋を載せる(太字は特に評価されたと思われるポイント)。ここまで的確に事実認定できたのは、詐欺罪に関する近時の重要判例の調査官解説を趣味で読んでいたからである。もっとも、『基本刑法Ⅱ』250頁にわかりやすくまとめられたので、調査官解説など読む必要はなかった(『基本刑法Ⅱ』は口述前に読んで感動した)。このように近時の判例を意識して「欺」く行為の事実認定をするなら、「財産的損害」という要件は不要である。

(1) まず、「欺」く行為が認められるか。

 ア 「欺」く行為とは、①財産的処分行為の判断の基礎となる重要事項について、②偽る行為をいう。

 イ 本件において、甲には家賃等必要な費用を支払う意思も資力もあったため、甲は通常の賃貸借契約における重要事項を偽っているとはいえず、「欺」く行為に当たらないとも思える

   しかし、某県では、不動産賃貸借契約には本件条項を設けることが推奨され、実際にも本件条項が設けられるのが一般的であったという背景がある。そして、本件の賃貸借契約書にも、「賃借人は暴力団員又はその関係者ではなく、本物件を暴力団と関係する活動に使いません。」との本件条項が設けられ、甲に対してもその内容が説明されていた。暴力団員等が居住することで資産価値が低下する可能性があることからすれば、本件条項の内容は賃貸人にとって合理的であり、その内容は上記のように客観的に明らかにされていた。そうすると、本件の賃貸借契約においては、甲が暴力団員でないこと・本件居室を暴力団関係の活動に使わないことは、財産的処分行為の判断の基礎となる重要事項となっていた(①充足)。

   また、本件条項が一般的であったことに加え、甲はその内容を説明されていたことからすれば、上記契約締結に際して、甲がX組組員でないこと・A宅を監視する目的で本件居室を使用しないことは、当然の前提になっていた。そのため、上記事実を秘して契約を締結することは、上記重要事項を挙動によって偽る行為といえる(②充足)。

 ウ よって、「欺」く行為が認められる。

・偽造の事実認定は、他のA答案と大差ない内容である。もっとも、「名義人」「作成者」の定義を示していない答案が意外と多かったので、A答案の平均以上だとは思う。

・行使の認定の後、「甲が変更前の氏名が記載された自動車運転免許証・変更前の氏名の口座名義の預金通帳を示した行為は、上記の詐欺利得罪の手段にすぎず、別に犯罪を構成しない」と書いたが、これが評価されたのかは不明である(多少は加点されたと思いたい)。

傷害致死の事実認定もそれなりに評価されてるはず。これも、以下に再現答案の抜粋を載せる。一見すると、他のA答案と比べても有意な差はないように見える。ただ、①「客観」「主観」というキーワードを意識的に加えることで体系の理解をアピール、②「とっさに」に飛びつかないことで論点の理解をアピール(問題文に「自己の身を守るため」とあるのだから防衛の意思は当然ある)、③事実を使い切る姿勢、などの細かいテクニックで差をつけている。

(2) もっとも、甲の上記行為は丙の行為に対応して行われているため、正当防衛(36条1項)が成立し、違法性が阻却されないか。

 ア 「急迫不正の侵害」とは、法益侵害の危険が現在又は切迫していることをいい、その有無は客観的に判断される。本件では、丙は着衣のポケットからスマートフォンを取り出しただけであり、法益侵害の危険が現在又は切迫しているとはいえないため、「急迫不正の侵害」は認められない。

 イ  よって、正当防衛は成立せず、違法性は阻却されない。

(3) そうだとしても、誤想防衛として責任故意が阻却されないか。そこで、違法性阻却事由の錯誤が問題となる。

 ア そもそも、故意責任の本質は、反規範的人格態度に対する道義的非難であるところ、違法性阻却事由を基礎付ける事実を誤信していた場合、規範に直面していたとはいえない。そこで、違法性阻却事由の錯誤も、事実の錯誤として責任故意が阻却される。

 イ 本件において、甲は、丙が取り出したものがスタンガンであり、それで攻撃してくると誤信していた。そのため、甲の主観を基準にすれば法益侵害の危険が切迫しており、「急迫不正の侵害」がある。

   次に、甲は自己の身を守るため、とっさに上記行為をしているため、急迫不正の侵害を意識してこれを避けようとする心理状態たる防衛の意思があり、「防衛するため」といえる。

   また、丙は20歳と甲より若く、身長180cmと甲より15cmも高く、体重85kgと甲より25kgも重いこのように甲よりも身体能力で勝る丙が、スタンガンという火傷を負わせたり意識を失わせたりできる強力な武器を用いてきた場合には、顔面を拳で1回殴るというのは必要最小限度の防衛行為といえ、「やむを得ずにした」といえる。

 ウ したがって、甲の主観を基準にすれば正当防衛が成立するため、違法性阻却事由の錯誤として責任故意が阻却される。

 

〜もっと上位に行くために〜

・最後の足蹴り行為について、行為の一体性を検討する実益を示せなかった。というか、考えたことがないパターンだったので、現場ではわからなかった。そのため、単に行為の一体性を検討するだけになった(ここは平均的なA答案の出来)。とはいえ、矛盾したことを書いたりするリスクを考慮した上の判断だったので、これは仕方ないとは思う。

 

〜総括〜

・自己ベストの答案を書けた。刑法に関しては、さらに上位を目指す必要はないかもしれない。どちらかと言えば、この感覚を忘れないことが大切だと思う。

 

〜司法試験に向けて〜

・司法試験過去問の検討・『刑法事例演習教材』の復習により、刑法の感覚を取り戻す

平成24年・27年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・短答対策をする中で出てきた学説を軽く復習する(特に結論が変わるもの)

 

 

 こんな感じですかね〜。刑法は重要な得点源なので、司法試験でも確実に上位Aを取りたいです。メリハリやペース配分がとても重要な科目なので、「120分・8頁」という感覚をできるだけ早く掴みます!

令和2年予備試験民事訴訟法

 こんばんは、アポロです。今日は民事訴訟法の反省点について書きます。

 民訴は、C評価でした(予想もC評価でした)。受験生の大半が書ける部分はしっかり書いて、受験生の大半が書けない部分は全然書けていません。良くも悪くも「標準的な合格者の答案」という感じで、あまり特徴がないです。

 

 〜設問1〜

・マジで何を書くべきかわからなかった。ただ、この時点で合格を確信していたため、「どうせ受かってるし、テキトーに書くか」と割り切ることができた。民訴が最後の科目で本当に良かったと思った。そんなわけで、とりあえず確認の利益と二重起訴について書いたが、普通に全部却下してしまった。本問最大の失敗はどう考えてもこれである。ここに触れられるか否かで、ほぼAか否かが決まっている。このような失敗をした原因は、「どうせ間違ってるからテキトーでいいや」と考えたせいで、問題文の事実と真摯に向き合わなかったことにある。自分が悩む問題は他の受験生も悩むはずであるし、自分が悩んで書いた答えは意外と正解に近いことも多い。これは、最近、司法試験過去問を解く中で強く感じることである。ただ、当時は、「全くわからない問題=捨て問」のような発想だったため、このような失敗をした。司法試験過去問の演習を積んだ今、初見でこの問題を解いたなら、判例の射程に言及できたかもしれない。そういう意味では、民訴は予備試験と司法試験の雰囲気が似ていると感じる(誘導が少ないという点では予備試験の方が難しい)。

・既判力の原則論を長々と書いたのは正しい現場判断だった。ただ、ここでの大きな失敗は、「訴訟判決の既判力」という論点をスルーしたことである。現場でこの論点に気づいたのに、「①こんなの書いても設問2に繋がらないし、絶対に解答筋を間違ってる。②判例もない論点だから、③書くだけ無駄である」と考え、スルーした。①については、その通りだった。②については、実際は関連判例があったので、知識レベルで間違っていた。③については、明らかな判断ミスである。確かに、「訴訟判決の既判力」は出題者の想定する正解筋ではないかもしれない。しかし、全部却下という結論を取る以上、論理的には上記論点が出てくる。ここで「間違ってないか?」と思いながらも、いかにもこれが正しいかのように書き切る力が自分にはなかった。つまり、弱気になってしまったのである。民訴に限らず、司法試験過去問では「これでいいのか?」と不安になりながら答案を書くことが非常に多い(特に民事系科目)。そういう問題でも、一義的な間違いというのは基本的にないのだから、自分が論理的に考えたことをもっと素直に答案上に表現すべきである。この辺の突破力が自分には欠けていたのだと思う。

 

〜設問2〜

・全部却下をした以上、判例の規範を書いて「特段の事情」を認めただけ。ここは比較的丁寧に書けたので、傷の広がりを多少防げたと思う。

 

〜総括〜

・何を書くべきか本当にわからない問題に出会った時の振る舞いが課題。「正解」を探しすぎて自分の考えを答案上に表現しないのは勿体ない。出題意図に沿っていることも意外と多いから、もっと堂々と答案を書く。

 

〜司法試験に向けて〜

・司法試験過去問を総復習し、民訴の感覚を取り戻す

・平成25年・27年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・重要判例に絞って深く復習する

 

 

 こんな感じですかね〜。自分が成績を把握している友達は、全員民訴はAでした笑。皆普通に判例の射程に言及していたので、試験直後はEかFを覚悟していました。その後、伊藤塾の分析講義を聞いて、自分の答案でもそこまで沈んでいないと知りました。結局、たまたま自分の周りの出来が良かっただけで、受験生全体の出来はかなり悪い問題だと思います。こんな難しい問題を予備試験で出すなよ〜、というのが率直な感想です笑。ただ、上位合格者の多くは民訴でAを取っているので、しっかり実力が反映された良問なのだとは思います。そして、司法試験では、これ以上に難しい問題が普通に出るので、今回の反省を活かして頑張ります!

令和2年予備試験商法

 こんばんは、アポロです。今日は商法の反省点について書きます。

 商法は、B評価でした(予想ではD評価でした)。設問2がマジの0点なので(「株式交換だけど承認不要」と3行使って書いただけ笑)、設問1に異常な配点が置かれたことが明らかになりました。友達の再現答案を見ても、設問2が良く書けているにもかかわらず、設問1の847条の3の当てはめが雑だったことが大きく影響し、同じB評価です。おそらく、設問1と設問2の「実質的な」配点比率は、最終的に8:2くらいに落ち着いたと思われます。

 

 〜設問1〜

・428条1項の存在を失念し、過失の当てはめをしてしまった。過去問や答練で何回も引用していたのに、こんな凡ミスを犯した。要件充足に大きな配点が置かれていた設問だけに、ここはそれなりに減点されたはず。会社法はこういうテクニカルな要件充足が少なくないので、過去問に出てきたパターンは正確にアウトプットできるよう訓練する必要がある。

・847条の3はヤマを張っていたので、完璧に当てはめることができた。設問2が爆死してもBで耐えた最大の理由はこれに違いない。

 

〜設問2〜

・現場では、少し考えてわからなかったので、「これは皆できない条文ゲーだな」と思った。商法設問1までの手応えで合格を確信していたため、ここは大胆に捨てることにした。というのも、予備試験商法では応用的な設問を捨ててもAやBがつくことは十分ある、ということを再現答案から学んでいたからである。言い換えれば、応用的な設問は実質的な配点が低くならざるを得ないため、コスパが非常に悪いのである。このような思考過程で、さっさと民訴の答案作成に移り、終了直前に「株式交換だけど承認不要」とだけ3行使って書いた。結果として、この決断は正解だった。

・とはいえ、確実にAを取るためには、このような問題でも最低限の条文は引きたい。沢山の再現答案を見たが、自己株式取得の条文を引用していない答案は未だ見ていない笑。予備試験論文を通じて何度も「自分は本当にバカなんじゃないか」と思ったが、「自己株式取得に気づかなかったの、俺だけ?」と思った時がそのピークである。では、どうすれば自己株式取得であることに気づけたのか。この点について、私の大好きな「低空飛行東大ロー生」さんは、以下のツイートをしていた。本当にこの通りだと思うので、司法試験までの演習では以下の視点を常に意識する。

 

〜予想評価とのギャップの原因〜

・元々、「自分の商法の評価は、設問2の配点に依存する(6:4ならD、7:3ならC、8:2ならBと予想)」と書いていた。設問1における847条の3の配点が思ったより高く、設問2の配点が思ったより低かった、というだけ。

 

〜総括〜

・①条文操作の詰めが甘いこと、②「生の事実を法的に(条文上)どう評価できるか」という視点が欠けていること、の2つが課題

 

〜司法試験に向けて〜

・司法試験過去問を総復習し、商法の感覚を取り戻す

平成26年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・短答に出てきた条文・判例を網羅的に復習する

 

 

 こんな感じですかね〜。決して満足な出来ではないですが、得点を取る感覚は正しかったので、そこは自信になりました。また、課題が明確になったのは嬉しいです。司法試験までにこれらを改善すれば、本番で良い評価を取れるはずなので、これらを徹底的に意識します!

令和2年予備試験民法

 こんばんは、アポロです。今日は民法の反省点について書きます。

 民法は、A評価でした(予想もA評価でした)。ただ、後述の通り、重要論点を落としているため、超上位ではないと思います(200〜300位くらい?)。

 

 〜評価されたと思われる点〜

・設問1

 ①全体のバランスがとても良かった。「原則→例外」の流れを丁寧に示す過程で、表見代理にも軽く触れた。そして、丁寧に問題提起した後、判例の規範をほぼコピペし、事実を拾いまくって当てはめた。パッと見で合格推定が働く答案を書けた。

 ②とにかく条文を引用した(設問1だけで10個)

・設問2

 ①詐欺・無資力要件・弁済期到来の当てはめを丁寧に行なった

 ②Dの害意の認定で悩みを見せ、Eの害意の認定では「親戚」という事実に着目できた

 

〜もっと上位に行くために〜

・設問1

 ①後見人の善管注意義務の条文(869条・644条)を引きたかった。善管注意義務の条文を判例が引用したことは知っていたため、周辺の条文を探しまくったが、結局見つけることができなかった。なので、代わりに858条を引用した。これはこれで間違いではないと思うが、やはり判例が引用した条文は引きたかった。論証集の条文を何となく眺めているようでは、いざという時に困るのだと痛感した。

 ②当てはめをもう少し充実させたかった。一つの事実をネチネチ評価するような当てはめになり、重要な事実を落とした。これでもAがついたのは、採点者が自分の当てはめに納得してくれたからだと思う。つまり、採点者運が良かったおかげで、事実を拾い忘れたのを文章力で誤魔化せただけ。直感で拾う事実・評価の仕方を決め打ちするのは良くないので、当てはめの前には一度立ち止まる必要がある(憲法でも同様の反省点があった)。

・設問2

 ①「詐欺取消権等が代位行使の対象となるか」という論点に触れたかった。自分は「423条1項但書、同条3項に該当する事由も特にない。」とだけ書いて終わった。その原因は、要件事実を過度に意識して答案を書いていた、という点にある。つまり、「要件事実として不要な実体法上の要件はテキトーに認定して良い(むしろすべき)」という誤った考えで答案を書いていたのである。そのため、「時効援用権の一身専属性」という論点から類推して上記論点に気づいたものの、「これは触れるべきではない」という判断をしてしまった(決して時間に追われていたわけではない)。自分の場合、要件事実的な思考で民法を解くのは、もはや有害である。そのせいで、司法試験の過去問でも失敗したことがある。普通に、実体法の問題として解くべきである。

 ②424条の6第1項を引きたかった。この条文を引けるか否かは結構見られていたと思う。短答で改正条文に強くなったつもりだったが、論文で使いこなせるレベルではなかった。短答の勉強の際、条文の適用場面をもっと具体的にイメージすべきだったのだと思う。

 ③詐害行為取消は、少し時間がなくなってきたため、全体的に要件の認定が雑になった。条文の文言の引用をしない箇所がいくつかあった。確かに、時間との関係でやむを得ない側面はあった。しかし、本問は正に要件への当てはめが問われていたのであるから、時間がないからといってそこを雑にするのはナンセンスである。試験が終わって冷静に考えた後、省略すべき部分を間違えたと思った。

 ④最後に不当利得を5行程書いたが、我ながら意味不明である。これを書いてしまった原因は、(a)「債権者代位と不当利得はセットで出てくる」と覚えていたこと、(b)書くことが少なくて不安になったこと、(c)皆が書いて自分だけ書かなかったらやばいと考えたこと、である。(c)の感覚それ自体は正しいので、これは特に問題ない。問題は、(a)と(b)である。(a)について、このようなパターン化それ自体はむしろ推奨されるが、あくまで「問いかけとの関係でそれを書くべきか」ということを前提として考えるべきである。Dは「本件登記の抹消登記手続を請求することを考えている」のに、私の答案には「不当利得(703条)に基づいて本件不動産の返還請求をする」と書いてある。採点者も、首を傾げたことだろう。採点者によっては、積極ミスとして(大)減点されてもおかしくなかったと思う。「論点に飛びつきそうになったら、一度冷静に考える」ということを徹底する必要がある。(b)については、題意を掴めていれば不安にならなかったはずである。つまり、「これは論点よりも要件への当てはめが勝負の問題だ」と気づいていれば、もっと丁寧に当てはめることで点数を伸ばせたし、余計なことを書いて心証を害することもなかった。あれだけ過去問研究をしたにもかかわらず、予備試験民法という科目の特性を全然理解できていなかった。非常にもったいないことをした。

 

〜総括〜

・正直、問題及び採点者との相性が良かっただけな気がする。令和3年予備試験民法を解いても、確実にAを取れる自信はない。ただ、論証を覚えていたのは勉強の成果といえる。民法でも意外と論証を貼るだけの問題は出るので、論証はできるだけ多く覚えるべきだと感じた。

 

〜司法試験に向けて〜

・平成25年以降の司法試験過去問を検討し、民法の感覚を取り戻す

・平成27〜28年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・短答対策をする中で出てきた条文・論点を軽く復習する(特に改正が絡むもの)

 

 

 こんな感じですかね〜。司法試験の民法については、過去問はあまり遡らない予定です。その理由としては、①改正の影響で出題趣旨・採点実感が読みづらいこと(混乱しそう)、②過去問間の関連性が比較的薄いこと、③「どう書くか」よりも「何を書くか」で勝負がつく科目であること等が挙げられます。個人的には、論文よりも短答が不安です(民法だけ配点大きいし)。なので、毎日1〜2年分だけ論文過去問を検討して、残りの時間は短答過去問をやろうと思います。