予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和3年予備試験行政法

 令和3年予備試験行政法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 本件条件=附款

 2 取消対象=本件許可or本件条件

 3 本件許可を取り消せば行訴法32・33等の効力が本件条件を含む本件許可全体に及ぶが、本件条件を取り消せばそれら効力は本件条件のみに及ぶ→Aとしては本件条件に不満があるだけで本件許可それ自体を取り消すことまでは望んでいない→本件条件を取り消せば必要十分

 4 本件条件の取消訴訟を提起すべき

第2 設問2

 1 行訴法30違反

 2 「生活環境の保全上必要」・事柄の性質→要件裁量

 3 裁量逸脱濫用の規範+公的見解の表示・信頼が生じたこと・帰責性なしの判例の規範

 4 あてはめ

 (1) Aの主張

   ・審査を経て適当と認める通知が送付された→公的見解の表示○、信頼が生じたこと○

   ・他者搬入等も目的にしていると明確に伝えた、複数回も事前協議した、本件申請の書類には他者搬入等に関する記載は不要だった→帰責性なし○

   ・信義則違反で裁量の逸脱濫用

 (2)  Bの反論

   ・不適正事例の社会問題化→責任の所在が不明確になるおそれ、異物混入などのおそれ

   ・生活環境の保全・公衆衛生の向上という法の目的に沿う

   ・Aの信頼を裏切ることになっても、予防原則が適用され得る危険物を扱う者である以上、裁量の逸脱濫用まではない

 (3) Aの再反論

   ・近隣の県では本件条例のようなものは付されない以上これがなくても法の目的は達成できる→現に本件申請は規則の厳格な基準に適合しているため法の目的は達成できる

   ・高額な費用を投じて規制に適合する相当規模の保管施設等を設置した、当初予定していた事業の効率化が著しく害される

   ・比例原則の観点からも裁量の逸脱濫用

   ・本件申請の直前に従来の運用を変更して事前連絡もなかったので事前協議が無意味になり信頼を裏切られたので、やはり信義則違反でも裁量の逸脱濫用

 (4) 社会観念上著しく妥当性を欠くので行訴法30違反

(所要時間20分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べても普通だと思う。

 

・設問1はおそらく附款の問題だが、正直よくわからない。伊藤塾の講義で聞いたことある内容だったが、詳細な議論までは思い出せなかった。全然自信がないので、本当に最低限の論述で終わらせて設問2で勝負することにした。

 

・設問2はおそらく裁量の問題で、どれだけ事実を拾えるかが勝負。平成28年予備試験と似ているように感じたので、判例の信義則のフレームを用いて処理した。他にも、考慮不尽や比例原則で書くことも可能だと思う。どのフレームで書いたかというよりも、どれだけ事実を拾えたかの方が重要だと思う。

 

・設問2については、主張と反論をうまく噛み合わせるのが難しかった。というのも、Bの反論は、Aの信義則違反に対する直接的な反論ではないため、そもそも問題文のAとBの主張反論自体が噛み合っていないようにも思えるからである。私の構成としては、A「信義則違反!」、B「危険物なのだから信頼どうこう言ってる場合じゃない!」、A「そうだとしても比例原則違反!てかどのみち信義則にも違反!」という感じ。事実は拾えている自信があるが、大枠の構成として適切なのかはわからない。

 

・得点のポイントは、設問2で事実を拾いまくり、それを適切な場所に落とし込むことだと思う。この設問は、論理というよりあてはめ勝負の問題なので、憲法・司法試験行政法に近いと感じた。予備試験行政法でここまで事実を拾わせるのも逆に珍しい気がする。そのため、書く速度・文章力で大きな差がつく設問だったかもしれない。憲法行政法の答案構成を終えた時点で「行政法設問2はかなり書くことが多いあてはめ勝負の問題だ」ということに気づき、うまくタイムマネジメントできたか。日頃答案を沢山書いてる人は、この辺の感覚が研ぎ澄まされているはずなので、最後まで充実した論述をして差をつけられたのではないかと思う。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、設問1で変なことを書かなかったこと・設問2で実質途中答案にならなかったことだと思う。勝手な想像だが、今年は憲法で時間を取られ、行政法設問1で悩み、設問2で時間切れになった人がそれなりにいると思う。そのため、設問2であり得る判断枠組みを定立し、重要な事実を概ね拾っていれば、よほど変なことを書いていない限りCはつくと思う。その上で、主張・反論をうまく噛み合わせたり、高い文章力で説得的なあてはめができていれば、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。私自身は行政法はEだったので、正直この記事の内容には自信がないです笑。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

令和3年予備試験憲法

 令和3年予備試験憲法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 広告物

 1 特別区域内で広告物を掲示する自由(21Ⅰ)を侵害し違憲か?

 (1) 保障◯

 (2) 制約◯

 (3) 正当化?

  ア 広告物を掲示することで営業利益を上げて自己実現できるbutあくまで広告にすぎないから民主政の過程に資することはなく自己統治の価値低い&歴史的環境がある特別規制区域における広告物の掲示は規制の必要性を内在する権利

    間接的・付随的・内容中立規制but原則一律禁止で規制態様はそれなりに強度

    中間審査基準

  イ あてはめ

 (ア)目的=歴史的環境の維持向上=重要

 (イ)手段

      適合性◯

      必要性?→原則禁止で例外要件も厳しい&罰金刑→×

  ウ ×

 2 ×

第2 印刷物

 1 特別区域内の路上で印刷物を配布する自由(21Ⅰ)を侵害し違憲か?

 (1) 保障◯

 (2) 制約◯

 (3) 正当化?

  ア 印刷物を配布することで自分の思想を流布して自己実現できる&政治的内容のビラ配りは民主政の過程に資するため自己統治の価値が高い場合もある&路上はパブリックフォーラムbut歴史的環境がある特別規制区域における印刷物の配布は規制の必要性を内在する権利

      間接的・付随的・内容中立規制but一部例外を除いて禁止で規制態様はそれなりに強度

    中間審査基準

  イ あてはめ

 (ア)目的=重要

 (イ)手段

      適合性?→歴史・伝統との関わりがある印刷物は歴史的環境を損なわないと言うが、歴史・伝統との関わりがない印刷物も同様に歴史的環境を損なわないはず(目的との関係では内容によって差異を設ける合理性なし)→これを規制しても意味ない→×

  ウ ×

 2 ×

(所要時間15分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べても普通だと思う。

 

表現の自由というオーソドックスな出題なので、問題を見た瞬間に安心した受験生は多いと思う。ただ、この問題は決して簡単ではない。まず、構成が悩ましい。私は完全に2つに分けた。いずれも表現の自由という括りでは同じ人権だが、具体的な権利の内容が異なるためである。併せて書いてしまうと、個別の検討が雑になる気がする。

 

・広告物規制の方が拾うべき事実が多いので、答案の分量としては2:1くらいにしようと考えた。具体的に検討してみても、広告物規制は必要性が争点になるのに対して、印刷物規制は適合性であっさり切れるので、これで良いと思った。

 

・いずれの規制についても、審査基準定立までの論証にやや苦戦した。「自己実現」「自己統治」のようなマジックワードに逃げずにどれだけ具体的に書けるかがポイントだと思う。ただ、それでもやはり書きづらかったし、答案構成に書いてる内容が正しいのかもわからない。

 

・得点のポイントは、審査基準定立の過程だと思う。表現の自由という類型化しやすい人権大たので、安易にマジックワードに逃げずに具体的な人権に食らいつけるか・内容中立規制などの議論を適切に挟めるか・ビラ配りに関する判例を意識した論述ができるかなどで結構差がつくと思う。また、昨年同様、文章力で大きな差がつきそうな問題だと感じた。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、構成・結論を間違えないことだと思う。おそらく、「2つの人権に分けて構成し、広告物規制は過度なので違憲、印刷物規制は意味がなく違憲」という筋が想定されていると思う。もちろんこれ以外の構成でも説得力があれば良い評価がつくが、若干ハードルは上がる気がする。この構成・結論を間違えていなければ、よほど内容がスカスカでない限り、Cはつく気がする。これに加えて、事実をほとんど拾い、文章力があって説得的に答案をかけた人は、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。私自身は憲法はAだったので、そんなに変なことは書いてないと信じたいです…。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。

高く評価される答案(2021.6.20スペースまとめ)

憲法

・具体的な権利の性質・規制態様に着目し、審査基準を丁寧に導く。「自己実現」「自己統治」のようなマジックワードは極力使わない。

・問題文の事実は全部使う。事実の摘示それ自体に大きな配点があること・評価の仕方に絶対的な間違いはないことから、「評価の仕方がよくわからないから当該事実を摘示しない」というのはナンセンス。

・目的審査・適合性審査は、争いがない場合でも丁寧に論理を書く。雑に書きすぎない。

・何が主たる論点かを見極め、それに関連する事実を全て拾い、適切な位置にそれぞれ落とし込んでいくだけで答案が完成する。細かい憲法論などどうでもいい。

 

行政法

・現場思考問題の配点は意外と高いので、侮れない。

・現場思考問題でも、法的三段論法の形式は死守する。平成21年新司法試験公法系第2問ヒアリングでも、「法的な三段論法がきちんとできるいわば基礎体力があるかどうかということが基本的な分かれ道だと感じる。」と言われている。行政法に限らず、「原則例外」の枠組みは汎用性があるので、迷ったらその枠組みで規範を定立すると意外と何とかなる。

行政法に限らず、模試の復習は怠らない。特に伊藤塾模試の的中率は凄い。

 

〜刑法〜

・刑法に限らず、簡単な問題が出題された時は「どこで差をつけるか」という視点で事案分析・答案作成をする必要がある。「簡単だからこそガッツリ点数を稼ごう」と考えるべきで、「簡単だからテキトーで良い」はナンセンス。

・重要犯罪の主要な構成要件は、しっかり定義を示す。この時に、「定義→当てはめ」の流れを徹底する。「『急迫不正の侵害』とは、法益侵害の危険が現在又は切迫していることをいうところ、本件では〜なので法益侵害の危険が現在又は切迫しているとはいえず、『急迫不正の侵害』は認められない」という書き方が正しい。「〜なので、法益侵害の危険が現在又は切迫しているとはいえず、『急迫不正の侵害』は認められない」とだけ書いたのでは、定義を示したことにはならないし、法的三段論法の形にもなっていない。ただし、本当にどうでもいい構成要件・どうしても時間がない場合は、後者の書き方もやむを得ない。

・刑法に限らず、事実の摘示を徹底する。「丙は20歳と◯歳の甲より◯歳若く、丙は身長180cmと165cmの甲より15cmも高く、体重85kgと60kgの甲より25kgも重い」というのが、正しい事実摘示。「丙は甲より◯歳若く、15cmも高く、25kgも重い」と書いただけでは、問題文の事実を摘示したことにはならない。ただし、どうしても時間がない場合は、後者の書き方もやむを得ない。

・刑法は、紙幅不足に陥る可能性が最も高い科目なので、冒頭で余裕をこいてダラダラ書かない。コンパクト・メリハリの意識を強く持つ。

 

刑事訴訟法

・論点を知らないと現場思考でどうしようもない問題も出るので、網羅的に復習する。

・事実に食らいつく。当てはめ勝負になることが多い科目。

 

〜法律実務基礎科目(民事)〜

・わからない設問で悩みすぎない。大きく差がつくのは、準備書面問題。

準備書面問題は、「供述の信用性を叩き落とせないか」という視点を持つ。

 

〜法律実務基礎科目(刑事)〜

・犯人性の問題は、「反対仮説を排除できるか」という視点で書く。

・公判前整理手続の条文は、全部に目を通しておく。

・公判の進行に伴って争点が大きく変わることもあるので、「この設問との関係での争点は何か」ということを常に意識する。ここを勘違いすると、伝聞の要証事実を間違えるなどして設問を丸々落とす可能性がある。事案が長くて複雑なだけに、要注意。

 

民法

・論点が見え見えの問題こそ、論点までの道筋を丁寧に示す。論点に飛びつくのは論外で、「論点を知らないかのように論述して論点を導く」という意識を持つ。この意識を持てば、自ずと「原則→例外」の枠組みで書くことになる。

・条文番号は可能な限り引用する。商法と同じくらいの意識を持つ。

・近年の民法は、論点ゲーの設問に加えて、条文要件充足ゲーの設問も多い。後者では「どれだけ丁寧に要件に当てはめたか」で大きく差がつくので、条文の文言を可能な限り引用し、事実も可能な限り書き写す。民法も、商法のような条文要件充足ゲーの問題が増えている。

・要件事実に囚われすぎず、実体法上の要件・論点は普通に書く。要件事実ではない条文上の要件ならテキトーに認定していいわけではないし、抗弁事実となる要件から出る論点があれば当然それも書く。

・高確率で改正民法の条文が出るので、復習は丁寧にする。

 

〜商法〜

・頻出の条文は瞬時に引けるように再確認する。要件充足は丁寧にする。

善管注意義務・過失は、「具体的な注意義務を設定→義務違反」の流れを徹底する(民法でも同じ)。

・未知の条文を探す場合には制限時間を設け、それが過ぎても見つけられなければ、諦めて次に進む。他の受験生もどうせ見つけられないので、合否には影響しない。

・高確率で難しい設問が出るが、それを間違えたところで何の問題もないので、気楽に挑む。

 

民事訴訟法〜

・予備民訴は誘導が少なくて難しいが、自分が選んだ解答筋は他の受験生も選んでいる可能性が高いので、自信を持って書く。不安になって雑に書くと、それが正解筋だった場合に、非常にもったいない。

憲法と民訴は、判例が条文のような役割をしている科目なので、常に「この判例の射程は本問にも及ぶか」という視点を持って事案を分析する。

答案構成・答案作成の時間配分

 こんばんは、アポロです。今日は、答案構成・答案作成の時間配分について書きます。これは誰もが一度は悩むところで、私も試行錯誤の末に自分なりの答えを見つけました。なので、以下の内容はあくまで「私に合ったやり方」であることを前提に、参考程度に読んでもらうと良いと思います。

 また、予備試験について、私は「科目ごとに答案構成→答案作成」をするのではなく、「全科目の答案構成→全科目の答案作成」という順番でやっていました。これも絶対的な正解があるわけでないですが、各科目の問題の難易度・書くべき分量によって時間を調整する必要があるので、やはり後者の方が安全な気がします。例えば、令和2年予備試験の刑事は、答案構成段階で刑訴で書くことが少ないと気づけたので、刑法に多めに時間を割くことができました。逆に、特定の科目で書くことが異常に多い問題も想定されます(令和2年予備試験ではありませんでしたが)。なので、私の意見としては、後者の順番に慣れた上で本番に臨むことをお勧めします

 加えて、①時間配分はあくまで「原則」なので問題の難易度次第では柔軟に調整する必要があること、②1科目の設定時間も「死守」して次科目の時間が減り点数が下がるのを避けること、を心掛けると良いです。これらは一見すると矛盾しますが、「問題を見た上で調整した時間だけは死守しろ」という意味です。もちろん、問題の難易度により時間を守れないこともありますが、延長は10分以内に抑えてました。これ以上時間を延長すると、次科目の点数が下がる可能性が高いです。

 最後に、もう一点だけ補足させて下さい。私は、答案構成に時間をかけないタイプなので、答案構成の時間が比較的短いかもしれません。そのせいで、答案を書きながら悩むことも多かったです。ただ、自分の場合は、答案構成に時間をかけすぎた問題で良い答案を書けたことがほとんどないので、上記デメリットを考慮しても、大枠程度の雑な答案構成にとどめてました。こればかりは人によるのですが、答案構成に時間がかかりすぎる人は、一度「かなり雑に答案構成してみる」というのを試すと良いと思います。私自身、慶應ローの刑法で時間がない時に追い込まれてかなり雑な答案構成をしたのですが、意外と普通に書けたので、今まで答案構成に時間をかけすぎていたことに気づきました。評価の対象はあくまで答案であることを強く意識して、答案構成に無駄な記述がないかチェックしてみましょう。例えば、私は「罪数」を「NC」と省略するなど、自分だけがわかる記号を結構使ってました。これは、"number of crime"の略のつもりで書いてましたが、正しい法律英語なのかは知りません笑。このように、「正しい」略し方である必要は全くなく、自分さえわかれば良いのです。「罪数」と真面目に書く時間はバカバカしいです。こういう工夫は、誰でも簡単にできる上にデメリットもほぼないので、積極的に模索することをお勧めします。

 

 

 

〜予備試験〜

 

 

①公法

・09:30〜09:40(10分)…憲法答案構成、09:40〜09:50(10分)…行政法答案構成

・09:50〜11:00(70分)…憲法答案作成、11:00〜11:50(50分)…行政法答案作成

 

②刑事

・13:15〜13:30(15分)…刑法答案構成、13:30〜13:40(10分)…刑訴答案構成

・13:40〜14:45(65分)…刑法答案作成、14:45〜15:35(50分)…刑訴答案作成

 

③般教

・16:30〜16:50(20分)…全問答案構成

・16:50〜17:05(15分)…設問1答案作成、17:05〜17:30(25分)…設問2答案作成

 

④実務

・09:30〜09:45(15分)…民事答案構成、09:45〜10:00(15分)…刑事答案構成

・10:00〜11:15(75分)…民事答案作成、11:15〜12:30(75分)…刑事答案作成

 

⑤民事

・14:00〜14:15(15分)…民法答案構成、14:15〜14:30(15分)…商法答案構成、14:30〜14:40(10分)…民訴答案構成 

・14:40〜15:35(55分)…民法答案作成、15:35〜16:40(65分)…商法答案作成、16:40〜17:30(50分)…民訴答案作成

 

 

 

〜司法試験〜

 

 

①経済法

・9:30〜10:30(60分)…答案構成

・10:30〜12:30(120分)…答案作成

 

憲法

・13:45〜14:10(25分)…答案構成

・14:10〜15:45(95分)…答案作成

 

行政法

・16:30〜17:05(35分)…答案構成

・17:05〜18:30(85分)…答案作成

 

民法

・10:00〜10:35(35分答案構成

・10:35〜12:00(85分)…答案作成

 

⑤商法

・13:15〜13:50(35分)…答案構成

・13:50〜15:15(85分)…答案作成

 

⑥民訴

・16:00〜16:30(30分)…答案構成

・16:30〜18:00(90分)…答案作成

 

⑦刑法

・9:30〜9:55(25分)…答案構成

・9:55〜11:30(95分)…答案作成

 

⑧刑訴

・12:45〜13:10(25分)…答案構成

・13:10〜14:45(95分)…答案作成

 

 

 

 こんな感じですかね〜。予備試験・司法試験の本番でも、概ねこの時間配分通りに書くことができました。もちろん、一部の科目では10分弱オーバーすることもありましたが、どちらかといえば予定より早く終わることの方が多かったです。このように、「自分だけの時間配分」を明確に決めておくと、試験本番でも精神的に非常に楽です。また、途中答案のリスクは大きく減ります。冒頭にも書きましたが、上記時間配分はあくまで自分のオリジナルなので、これは参考程度にとどめた上で、演習を通じて「自分だけの時間配分」を見つけてもらえれば良いと思います。

司法試験の予想評価・雑感等

 こんばんは、アポロです。司法試験を受験してから、早くも2週間以上が経過しました。この間、私は再現答案を作成し、友達が何を書いたか確認し、Twitterでも多くの方の再現答案・雑感等を読みました。これらを通じて、ひたすら自分の答案の相対的評価を探りました。また、予備論文の成績・模試の成績・過去の論文試験の再現答案研究などを通じて、「受験生のレベル感」というのは把握しているつもりです。なので、以下の予想評価は、実際の評価にかなり近いと思います。

 予想評価の基準としては、今年の短答合格者数が2672人であったことを踏まえて、A=上位37%、B=上位56%、C=上位75%、D=上位94%、E=それ以下、とします。

 

 

 

〜予想評価〜

 

 

憲法…A(上位10%)

 

・行政…A(上位25%)

 

民法…A(上位20%)

 

・商法…A(上位15%)

 

・民訴…A(上位10%)

 

・刑法…B(上位50%)

 

・刑訴…A(上位3%)

 

・経済…60点(上位5%)

 

・論文…200位前後

 

・短答…159点(上位1.45%)

 

・総合…100位前後

 

 

 

〜雑感〜

 

 

憲法…A(上位10%)

 

 規制①は、ほぼ出題趣旨通りに書けているはずなので、おそらく超上位。規制②は、「みだりにSNSのアカウント等の情報を収集されない自由」として。プライバシー権(自己情報コントロール権)の問題として論じた。結社の自由は、思いつきもしなかったが、これを何条で論じたかそれ自体は大きな問題ではない。当てはめで多くの事実を拾い、適切な評価を加えられたかが勝負。その意味では、やはりプライバシーの問題の方が論じやすいと思う。たまに「規制②はプライバシー権の問題では論じ得ない」という意見を聞くが、団体や構成員のプライバシーを観念し得ること、公の情報でもそれを「収集(管理)」すること自体にプライバシー侵害を観念し得ることから、やはりプライバシー権も問題になるはず。流石にAは来ると思うが、上位5〜15%くらいの範囲でズレはありそう。予備論文と同じくらいの手応え。

 

 

・行政…A(上位25%)

 

 設問1(1)は、法的根拠があるか微妙だと考え、少しだけ公権力性を論じた。法効果性の部分で、申請権の有無・市道占有許可との関係を論じた。後者は若干ズレたことを書いたかもしれないが、誘導がわかりづらかったので、大きなダメージではなさそう。実効的な権利救済は、無難な内容を簡単に書いた。

 設問1(2)は、出そうな予感がして数日前に確認した判例だったので、完璧に書けた(個人的には原告適格で出ると予想していたが)。予想できた理由は、「昨年はややマイナーな不作為の違法確認訴訟が出た→ただこれは問研のB+の問題として載っていた→今年も問研のB+の問題からややマイナーな分野が出そう→競願関係が出そう」という感じ。あと、コンプリ答練にも出ていた気がする。

 設問2は、誘導に忠実に従ったので、大きなミスはないはず。事実もかなり丁寧に当てはめた。最後の判例は全然理解していなかったが、現場でそれっぽいことを書いたら、判例とほぼ同じ内容になっていた。我ながら冴えていたと思う。

 これだけ読むと上位25%より上な気もするが、行政法は毎回予想評価より遥かに悪い評価をつけられてきたので、控えめにしておく。いずれにせよ、流石にAだとは思う。

 

 

民法…A(上位20%)

 

 設問1は、所有権喪失の抗弁ではなく占有権原の抗弁で書いたことがやや不安だが、条文の当てはめ・論証共に丁寧に書けた。大きな問題はない。

 設問2(1)は、請負を否定して準委任で書いた。準委任など論文で書いたことがないので不安だったが、合っていたようで安心。

 設問2(2)は、いずれの請求も正解筋に近い内容を書いたが、事実認定が雑すぎる。合格レベルだとは思うが、上位層はもう少し厚く書いているはずなので、やや不安。まぁ、配点を考えれば妥当な判断だったと思う。

 設問3(1)は、ほぼ完璧に書けたのに、最後の508条で相殺適状にあったとしてしまった。現場で「相殺適状にあった時期なくね?」と思ったが、「全額は拒めないけど100万円は拒める」という結論が美しいと思ったこと、どうせ皆508条適用するのに自分だけ否定するというリスクを負いたくなかったことから、普通に適用した。これも、決して簡単ではないし、現場判断としては妥当だったと思う。

 設問3(2)は、爆死した。残り時間10分で、条文操作で軽くパニックになった。何とか条文を見つけるも、結論の妥当性を図ろうとし、原則論も書かないまま修正した。完全にやらかした。これは最悪0点でもおかしくない。

 全体的な手応えは良くないが、設問1で典型論点を厚く書けたこと、設問2で準委任に食らいついたこと、設問3(1)もしっかり書けたことから、流石にAだとは思う。設問3(2)は、実質途中答案の人も多いらしいので、意外とダメージは少ないのかもしれない。

 

 

・商法…A(上位15%)

 

 設問1は、間接取引と多額の借財を書き、前者で重過失は否定し、後者で過失は肯定した。主観の当てはめにやや苦労したが、全体的にかなり丁寧に書いたので、差をつけられたはず。

 設問2は、他人名義の株式の論点を応用し、「特段の事情のない限り現実に出資した者が株主」という規範を立て、あとはひたすら当てはめた。上記論点を知っていれば、少しの現場思考と当てはめ勝負の簡単な問題だが、意外と受験生の出来は良くないらしい。ここも結構差をつけたはず。

 設問3は、①Gに議決権を行使させなかったこと(310条1項違反)、②Aに議決権を行使させなかったこと(310条1項違反)、③Cが特別利害関係人であること、④Cが議長のまま選任決議を進めたこと(決議方法が著しく不公正)、を書いた。①は典型論点なので厚く書いたが、他3つは現場思考だったので、広く薄く書いた。答案戦略としては正しかったと思う。

 全体的な手応えは、かなり良い。上位5〜15%くらいで、もちろんAだと思う。

 

 

・民訴…A(上位10%)

 

 設問1は、普通に処分権主義の問題を厚く書いた。課題1については、皆ほとんど同じようなこと書いただろうし、差がつかなそう。既判力に言及することは思いつきもしなかったが、それが必要なのか・必要だとしてどれほど重要なのかは、自分にはわからない。少なくとも、合否との関係では、普通に処分権主義を厚く書けば十分だと思う。課題2については、Yに不意打ちとなるとして違法とした(どちらの結論もあり得ると思う)。

 設問2は、出題予想していた訴訟承継だったので、下位規範まで丁寧に論証し、しっかり事実認定をした。伊藤塾の答練、ここでも的中。

 設問3は、課題1では、法的三段論法を意識して157条1項の当てはめを丁寧にした。「合理的な説明ができなければ重過失が推認される」というのは伊藤塾の答練を通じて知っていたが、この時点でYが当事者ではなくなったと勘違いし、「Yの証人尋問を請求して説明を求める」と書いてしまった。多少は点数をもらえるだろうが、正しい条文を引いて論述すべきだった。課題2では、これも伊藤塾の答練に出た問題だったので、訴訟状態帰属効の例外を論証し、丁寧に当てはめた。ここは、意外と差がつきそう。

 全体的に、伊藤塾の答練が的中しまくっていた。やはり、答練はバカにできない。そして、自分の答案は、伊藤塾の分析会で解説された再現答案に酷似している。最初読んだ時は、途中まで本気で自分の答案だと思っていた。おそらく、あの答案と自分の答案はほぼ同様の点数がつくと思う(一部あの答案の方ができているが、一部自分の方ができている)。筋を外さず、得点ポイントはかなり厚く書いたので、上位10%以内には入っていると思う。今年の民訴は、解答筋自体は見えやすかったので、「できた」と思って評価が悪い人が続出すると予想する(自分がそうならないことを祈る)。おそらく、「書き方」で大きな差がつく。

 

 

・刑法…B(上位50%)

 

 設問1は、爆死した。甲に強盗未遂罪と窃盗罪の共同正犯を成立させ、丙に業務上横領罪の共同正犯を成立させ、乙には強盗未遂罪と窃盗罪の共同正犯を成立させた。おそらく強盗罪は未遂も成立しないし、窃盗罪と業務上横領罪を成立させたのは明らかな論理矛盾。答案を書いている途中で論理矛盾に気づいたが、時既に遅し。丙を主人公に考えれば、スッキリとまとめられたに違いない。自分は去年の刑法でも強盗殺人罪ではなく殺人罪を成立させるなど、典型事案から捻られた刑法の問題が苦手である。乙については、共謀共同正犯の成否を厚く論じ、抽象的事実の錯誤も書いたので、特に問題ない。丁は、流石に盗品等保管罪の論点を書けた。やはり、甲と丙でミスったのが痛い。設問1単体だと、おそらく上位50〜70%くらいだと思う。酷すぎる…。

 設問2は、①共謀の射程、②離脱による共犯関係の解消、③207条について書いた。①をやや冗長に書きすぎた感じはある(おそらくメインではない)。メインはおそらく②だが、(1)の途中までそれに気づかず、気づいた時は「あぶねー!!」と思った。これは、正に『刑法事例演習教材』『刑法総論の悩みどころ』で橋爪先生が厚く書いていたところなので、「犯行からの一方的な排除」について、ほぼ橋爪先生の言葉を引用して書いた。③は、207条の適用の可否が問題になることには気づいたものの、「共犯関係がある場合にも適用されるか」という誤った論点を展開した。本来展開すべき論点でもこれに関連する論証を展開する必要があること、令和2年判例を意識した当てはめができていることから、最低限の点数はもらえそう。設問2単体だと、おそらく上位20%以内だと思う。

 刑法は、最も得意な科目だったため、非常に悔しい。今回の司法試験を通じて1番の失敗は、刑法設問1。刑法の論文が終わった瞬間は、結構メンタルがやられていた。

 

 

・刑訴…A(上位3%)

 

 伊藤塾の分析会で再現答案に選ばれたので、以下、岡崎先生の講評を載せる。「設問1①は、関連性の認定が微妙。設問1②は、関連性と包括的差押えを分けて書いたのは微妙。当てはめは良いが、少し冗長。設問2は、集まった再現答案の中ではベスト。ほぼ完璧だが、小問2の絶対的特信情況の当てはめで、時点にも言及できると完璧」。

 上記の講評に、特に異論はない。Aの中でもかなり上位と思われるので、上位3%以内という高めの評価を予想しておく。

 

 

・経済…60点(上位5%)

 

 大学院で独禁法を研究している優秀な友達に出題趣旨・採点実感を書いてもらったので、以下にそれを載せる。

 第1問は、2条6項(3条)と「事業者」に触れた後、「入札談合の場合、基本合意と受注調整に分けられて論ずることが定着しており、不当な取引制限該当性は、基本合意の問題であるから、それが成立するのかを以下論ずる」的な文言が最初にあるといいと思った。Y14の「正確な範囲を知らない」という話は、「共同して」で書いてあったけど、「相互拘束」で触れることも可能(どちらでもいいけど)。それでいわゆる「貸し借り関係」があるから、「相互拘束」充足もOKだと思う。Y15の基本合意からの離脱の論点について、おそらく実務で今後「離脱」が問題になることはほとんどない(課徴金減免制度のため)。その上で、橋梁上部工入札談合刑事事件東京高判の定義が答案には書いてあったね。まあ、公取委事件に落とすのであれば、岡崎管工事件東京高判。これは作成者の意図が不明だけど、アポロが書いていたように、Y2以降は知らなかったから相互拘束から切れていないと読むのか、むしろ、実際に入札結果として、ほとんどが本件合意通りに落札している事実(Y1〜14に事実上協力していた)とY15の独自の積算での入札はむしろ本件合意が継続していたことを示す証左ではないのか、のような見方もできるのかなーと。まあ、より一般的には、Y15以外の連中が、Y15のことをアウトサイダーだとは思っておらず、インサイダーであったと窺われる事実(大きな脅威ではなく静観)から本件合意の中にいたとした方が自然だよね。これは答案に書いたら減点になり得る視点で、「課徴金の賦課は〜論じる必要はない」とあるけれど、アウトサイダーになりたかったら、課徴金減免制度を利用することが自然であり、明確に翻意したことを表明したかどうかという証拠事実は弱い、ということになるよね、普通の世界では。ちなみに減免申請したことを他の事業者に通知することは違反。効果要件は、特にコメントなし(その通りだと思う)。

 第2問は、全体的な話として、行為要件、「公正競争阻害性(自由競争減殺)」、市場画定には触れられていたから良いかなと。X社が「市場において有力な事業者」(シェア、製品特性、代替性等)であることを述べておいて、設問1の措置1について拘束条件付取引というよりも(措置2の設問の存在もあるから)、「その他の取引拒絶」(一般指定2項)、「差別取扱い」(一般指定4項)を作成者は書いて欲しいのかな?いずれにせよ、「市場閉鎖効果」が生じていることの指摘が大事。設問1の措置2について、こちらは、「拘束条件付取引」(一般指定12項)で、排他的リベートの実施だね。こちらも市場閉鎖効果の発生の蓋然性。設問2について、設問1との違いとして、3条と19条の違いを意識できているか、が大事かな?設問1との違いは、市場閉鎖効果に加えて、価格維持効果もある(設問の「価格水準は〜安定した状態」)。その上で、2条5項を論ずるのであれば、「排除」で①「排除効果」、②「人為性」を書く。②は書いてあったけど、①への言及がなかった。(実際は定量的にどうこうわかるものではないけど)措置1と2がそれぞれ単独であれば、公正競争阻害性のみであるが、措置が2つ合わさることで、競争の実質的制限に至った的なことを書いておけば、3条と19条の違いはわかっているな、ってなるのかな。

 「流石」としか言いようがない。今年の経済法は、例年に比べて簡単だった。今日その友達と会ったが、彼は「今年の問題は簡単すぎる。作成者はセンスない」と言っていた笑。確かに、明らかに事実認定で差がつきそうな問題ではある。しかし、競争制限の認定こそが経済法の醍醐味であることを考えると、実力が反映される良問だったと個人的には思う。ダラダラ書きすぎて、第2問の最後が雑になったのは、反省している。事実認定ゲーは得意なので、おそらく60点前後はつくと思う。

 

 

 

〜総括〜

 

 現場での振る舞いは、結構良かったと思う。「本当にわからない問題」は特になく、ほとんどの設問は、問題文の事実・誘導から合理的に考えて正解筋で書けた。予備論文と比べると、明らかに手応えは良い。

 上述のようにいくつか出題予想が的中し、苦手分野がほとんど出題されなかったので、運は良かったと思う。

 C以下がつく科目はなさそうであり、最もできなかった刑法も設問2のおかげでBに踏み止まると思う。他方で、それ以外の6科目は確実にAで、経済法も60点前後だと思う。短答が27位であることも併せ考えると、客観的に見て、99.99%合格している。

 

 

 

 こんな感じですかね〜。刑法で大きな失敗をしましたが、自分の実力は出し切ったので、後悔はないです。合格発表までの間は、最後のモラトリアムを精一杯楽しみたいと思います!

経済法の特徴・勉強方法(過去問のランクを追記しました)

 こんにちは、アポロです。

 リクエストがあったので、今日は、経済法の特徴・勉強方法について書きます。来年からは予備試験でも選択科目が導入されるため、ほとんどの人は選択科目も勉強することになります。ただ、「結局どの科目がいいのか?」と悩んでいる方も多いはずです。なので、そんな方はこの記事で経済法を選択する可能性を考えてみていただきたいです。また、既に経済法を選択された方は、具体的な勉強方法を参考にしてもらえれば良いかと思います。

 私自身、短期間の勉強で模試でA評価(上位2.8%)の成績を取れたこと、今年の司法試験でもそれと同程度の成績を取れた手応えがあることから、一応これらを語る資格はあると思っています。

 なお、「経済法」という名前の科目ですが、独禁法以外は出てきません。なので、以下では「経済法=独禁法」という前提で話を進めます。

 

 

 

〜経済法のメリット〜

 

コスパが良い。覚える量が本当に少ないので、インプットが一瞬で終わる。

 

現実のビジネスに近い問題が多く、ビジネスの用語も結構出てくるため、刺激的。大企業の行為が問題になる事件がほとんどであり、「あの企業も昔こんなことしてたんだな〜」等と思うことが多い。また、最先端の領域も学べる。例えば、少し前に話題になったLINEとヤフーの統合なども、独禁法的な観点から興味深い事例といえる。

 

企業法務との親和性が高い。特に、M&Aにおいては独禁法の知識は必須なので、その道に進む人はいずれ勉強することになる。

 

 

〜経済法のデメリット〜

 

他の選択科目と比べて、「当てはめ勝負」や「条文選択ゲー」になることが多い。つまり、インプットが容易なことの裏返しで、「知っている論点が出た!勝ち!」みたいなことはほとんどない。これは、行政法をイメージしてもらうとわかりやすい(処分性・原告適格の規範は誰でも書ける)。また、「これは何条の問題だ??」と無用に悩まされることがある。これは、憲法をイメージしてもらうとわかりやすい(憲法19〜21条辺りで迷うことはよくある)。現場ではいずれかに決め打ちすることになるが、もし間違えると低い評価となる傾向にある。この辺の解説は、「論理的には○条の適用もありえるけど本問では○条の方が適切。だって、判例(有名ではない)あるもん」みたいにされることがあり、納得いかないことも多い。

 

事案のイメージがしづらい問題もある。複雑なビジネスモデルだったり、テクニカルな方法で独禁法違反をしていると、「結局これは何が起きてるの?」みたいになることがある。特に、私のようにビジネスの前提知識が不足していると、こういうことは起こりやすい。

 

弁護士によっては一生触れない法律である。やはり、労働法や倒産法と比べると、現実世界で登場する事案は限定的である。特に、いわゆる街弁の人はまず使わない法律と思われる。

 

 

〜経済法に向いている人〜

憲法が得意な人は、経済法に向いている独禁法は、「経済憲法」と言われることもあり、思考プロセス・当てはめの感覚が憲法に近い。まず、条文選択で悩む感覚は、人権選択で悩む感覚と非常に似ている。憲法でここを外すことが少ない人は、無意識のうちに正解筋を選ぶ感覚を理解しているため、経済法でも外さないと思う。また、「当てはめ勝負」である点も、憲法と共通するため、憲法の当てはめが得意な人は経済法の当てはめも得意だと思う。さらに、ほぼ毎回「正当化」という議論を展開し、「目的手段審査」をすることになる。なお、よく「刑法が得意な人は経済法に向いている」と言われるが、個人的には憲法の方が相関関係がある気がする。感覚的には、憲法:刑法:行政=5:4:1くらい。この3つのいずれにも苦手意識がない人は、間違いなく経済法に向いていると思う(ちなみに私は憲法・刑法が得意で行政法が苦手です)。

 

将来M&A等の企業法務をやりたい人は、経済法に向いている。やはり、興味があることの方が勉強していて楽しいし、結果的に成績も伸びると思う。

 

 

〜経済法に向いていない人〜

 

憲法が苦手な人は、経済法に向いていない。理由は、上記理由の裏返しである。

 

企業法務に全く興味がない人は、経済法に向いていない。この理由も、上記理由の裏返しである。ただ、東京地検特捜部等では独禁法を使うことがあるため、経済犯罪を扱う検察官になりたい人は、向いている。

 

 

〜経済法の勉強方法〜

 

・まずは、私自身の行った勉強を紹介する。

 

 ①伊藤塾の講義でざっくりインプットした。教材もシンプルで良かったが、学習が進むほど、「これでは不十分」と感じるようになった。

 

 ②『論点解析経済法』を読み進めた。この段階ではどうせ全然解けないので、答案構成すらしなかった。問題と解説を軽く読んで、論点の理解を深めた。

 

 ③とりあえず百選を読んだ。今思えば、コスパが悪い勉強だったと思う。個人的には、百選は必須ではないと思う。読んでも良いが、試験での得点に直結することは多くない気がする。

 

 ④司法試験過去問の答案構成をした(解答例はメルカリで購入)。この段階でも、正直全然解けなかった。結構焦ったが、何周もするうちに典型論点は容易に解けるようになった。

 

 ⑤伊藤塾の『ペースメーカー論文答練』・辰巳の『選択科目集中答練』の問題と解答例を読んだ。選択科目においては、答練の的中率は高いので、絶対に目を通すべきだと思う。他方で、実際に答案を書くのは過去問で十分だと思う。伊藤塾の答練は、全体的に難易度が高かった。辰巳の答練は、基礎的な事項を網羅的に問うており、とても勉強になった。いずれか一方のみに目を通すなら、辰巳の答練をオススメする。

 

 ⑥『論点解析経済法』の答案構成をした。この段階になると、大体の問題は解けるようになっていた。何周もして、苦手な分野を潰していった。

 

 ⑦司法試験過去問の答案構成をし、一部問題については答案作成までした。網羅的に答案構成をしつつ、平成23年以降は、各年度のより重要度が高い方の問題の答案作成をした。この段階になると、大体は解けるようになっていた。何周もして、苦手な分野を潰していった。

 

 ⑧『1冊だけで経済法』を参考にしながら、本格的に論証を暗記した。

 

 ⑨『条文から学ぶ独占禁止法』を読み、適用条文の峻別・論点等の理解を深めた。コンパクトに要点がまとまっており、とても試験向きの本なので、強くオススメできる。なお、金井他著の『独占禁止法』の方が有名だが、司法試験との関係では明らかにオーバースペックなので、あまりオススメできない(授業で使ったから一応持っていた)。

 

 ⑩『論点解析経済法』・司法試験過去問・論証の暗記・答練の復習を繰り返した

 

・今振り返っても、百選を読んだこと以外は正しい勉強だったと思う。もし勉強方法に迷っている人がいれば、是非参考にしてほしい。

 

・3月にアガルートが『経済法過去問解析講座』を出したため、今なら④の段階でこれを受講することをオススメする。現時点で、他の予備校による過去問講座は見当たらない。

 

・平成19〜20年の問題は異常に難易度が高いので、スルーして良いと思う。再度の出題可能性という観点からみても、重要度は高くない。

 

・平成21〜28年は、難易度が安定しており、良問も多いので、積極的に答案作成すべき。

 

・平成29年〜令和2年も難易度が高いが、再度の出題可能性に備えて、答案構成くらいはすべき(ちなみに令和3年は比較的簡単だった)。

 

・主に予備受験生向けに過去問にランクを付けたので、良かったら参考にして下さい。

A…H21①、H22①、H23②、H24①、H25①、H26①、H27②、H28①、H29①、R1①、R3①

B…H18①、H19①、H21②、H22②、H23①、H24②、H25②、H26②、H27①、H28②、R1②、R2②、R3②

C…H18②、H19②、H20①、H20②、H29②、H30①、H30②、R2①

 

・課徴金について、令和元年に大きな改正があったため、解答例・演習書・基本書・答練等がそれに対応しているか逐一確認することをオススメする。なお、『条文から学ぶ独占禁止法』は、小冊子で改正についてまとめたものがついているため、この点でもポイントが高い。

 

 

 

 こんな感じですかね〜。個人的には、凄くコスパが良い科目だと思っているので、経済法を強くオススメします!

演習書等まとめ

 こんばんは、アポロです。自分は予備試験合格までに色々な演習書・過去問・判例集・答練に手を出したので、それらの「予備試験合格という目的との関係での有用性」についてまとめました。ただ、あくまで主観なので、ご了承下さい。◎は「本当に役に立ったから超オススメできる」◯は「やらなくても問題ないけど時間あるならやればいいと思う」△は「いらなくね?」という感じです。

 なお、予備短答に合格された方は、新しい物に手を出している時間的余裕は基本的にないはずなので、この記事はスルーしてもらって結構です。短答前から使っている、自分が信じた教材を使い倒して下さい。ただ、一定の時間的余裕がある短答合格者が、明確な目的意識を持った上で、新しいもの一冊程度に手を出すなら、それほど問題ないとは思います

 

 

憲法

憲法判例の射程』(△)…判例の理解は深まるが、答案への活かし方がわからなかった。

旧司法試験過去問(◎)…人権の基本的処理手順を学び、統治の典型論点を押さえる。

憲法ガール(◎)…問題を解くのではなく、解説部分を何周も読み込む。これでやっと憲法の考え方・判例の使い方が理解できる。詳細な議論は読み飛ばして良い。

予備試験過去問(○)…過去問の後追いにならないように注意。事実を拾う感覚を学ぶ。

百選(○)…出題可能性が高いと思われる判例の事案・判旨・解説を読む。メリハリが重要。コスパは決して良くないと思う。むしろ精神安定剤としての役割の方が大きい。

答練(◎)…コンプリ答練・直前答練の問題・解説は非常に良いので、定期的に復習する。

 

行政法

『問題研究』(△)…問題の質は普通。苦手分野だけ講義を聴けば足りる。

『基礎演習行政法(○)…短文事例問題で典型論点の理解を深める。解説が非常に良い。

『事例研究行政法(△)…問題の難易度が高く、解説もわかりづらいと感じた。

行政法ガール(○)…新司法試験で問われた論点は予備試験で問われる可能性が高いので、論点を潰すイメージで読む。個別法解釈の難しい議論は読み飛ばして良い。

『実戦演習行政法(◎)…『基礎演習行政法』の著者である土田先生が予備試験過去問を解説してくれるので、非常に勉強になる。

百選(△)…超重要判例だけ一読すれば足りる。

答練(◎)…コンプリ答練・直前答練の問題・解説は非常に良いので、定期的に復習する。

 

民法

アガルート論証集(○)…論点の前に具体的事案が載っている。網羅性も十分だと思う。

旧司法試験過去問(◎)…良問が多い。典型論点を押さえつつ、民法的思考を学ぶ。

予備試験過去問(◎)…良問が多い。予備試験民法特有の頭の使い方を学ぶ。

新司法試験過去問(△)…予備試験との関連性が薄い。

百選(○)…辞書的に使えば足りる。基本的には判例の規範(論証)を覚えておけば良い。

答練(△)…本試験との質的乖離が大きい。民法は論点が多いので「ヤマ当て」も困難。

 

商法

アガルート論証集(○)…網羅性が高い。

『事例で考える会社法(○)…やや難易度は高いが、論点の理解が深まる。

会社法事例演習教材』(○)…網羅性が高い。解答を手に入れる必要はある。

旧司法試験過去問(○)…超典型論点は押さえられるが、網羅性が低い。

予備試験過去問(◎)…条文重視の良問が多い。焼き直して出題されることもある。

新司法試験過去問(○)…新司法試験で問われた条文・論点は予備試験で問われる可能性が高いので、条文・論点を潰すイメージで解説本を読む。商法特有の論理も学べる。

百選(○)…辞書的に使えば足りる。基本的には判例の規範(論証)を覚えておけば良い。

答練(○)…苦手分野を発見するには良い。

 

民事訴訟

アガルート論証集(○)…網羅性が高い。

『ロジカル演習民事訴訟法』(○)…リークエとの相性が良く、解答も付いている。

ロースクール演習民事訴訟法』(△)…マニアックな議論が多い印象。

『解析 民事訴訟法』(◎)…旧司法試験過去問の理解を深める。

新司法試験過去問(○)…新司法試験で問われた論点は予備試験で問われる可能性が高いので、論点を潰すイメージで解説本を読む。難問・奇問も多いので、深入りはしない。

予備試験過去問(○)…過去問の後追いにならないように注意。重要論点の理解を深める。

百選(◎)…伊藤塾かアガルートの百選解説講義を利用し、徹底的に判例の理解を深める。

答練(◎)…アウトプットが重要な科目なので、とにかく答案を書く。

 

刑法

『刑法事例演習教材』(◎)…最強の問題集。予備・司法共にこれで足りる。

旧司法試験過去問(◎)…典型論点の書き方を学ぶ。

新司法試験過去問(△)…『刑法事例演習教材』と重なる論点が多い。

『実戦演習刑法』(◎)…学者が予備試験過去問を解説しているので、非常に勉強になる。

百選(△)…超重要判例だけ一読すれば足りる。

答練(◎)…論点抽出能力・事実認定能力・事務処理能力を磨く。

 

刑事訴訟法

ロースクール演習刑事訴訟法(◎)…捜査の問題は良い。証拠の問題は微妙。

『伝聞法則に強くなる』(◎)…新司法試験の問題を簡略化した事例を解説してくれる。

『事例演習刑事訴訟法(○)…辞書としてはかなり有能。

旧司法試験過去問(◎)…典型論点の書き方を学ぶ。

新司法試験過去問(◎)…新司法試験で問われた論点は予備試験で問われる可能性が高いので、論点を潰すイメージで解説本を読む。重要論点は事実認定のポイントまで確認する。

予備試験過去問(◎)…事実認定勝負の問題が多い。焼き直して出題されることもある。

百選(◎)…伊藤塾かアガルートの百選解説講義を利用し、徹底的に判例の理解を深める。

答練(◎)…苦手分野の発見・事実認定の練習には最適。

 

法律実務基礎科目

『問題研究』『新問題研究』(△)…導入としては良いが、網羅性が低い。

大島本(◎)…網羅性が高く、解説もわかりやすい。

定石本(◎)…刑事実務のポイントがコンパクトにまとめられている。

伊藤塾赤本(◎)…問題・解説が良い。巻末のまとめも良い(特に執行・保全)。

予備試験論文過去問(◎)…同じようなことが繰り返し問われている。

予備試験口述過去問(○)…口述で問われた内容は論文で問われる可能性が高いので、答えを考えながら口述再現を読み進める。

答練(◎)…要件事実等は、全く同じ問題が論文・口述に出題される可能性がある。

 

 

 こんな感じですかね〜。あくまで演習書等を選ぶ際の一資料としてお使い下さい。