予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

高く評価される答案(2021.6.20スペースまとめ)

憲法

・具体的な権利の性質・規制態様に着目し、審査基準を丁寧に導く。「自己実現」「自己統治」のようなマジックワードは極力使わない。

・問題文の事実は全部使う。事実の摘示それ自体に大きな配点があること・評価の仕方に絶対的な間違いはないことから、「評価の仕方がよくわからないから当該事実を摘示しない」というのはナンセンス。

・目的審査・適合性審査は、争いがない場合でも丁寧に論理を書く。雑に書きすぎない。

・何が主たる論点かを見極め、それに関連する事実を全て拾い、適切な位置にそれぞれ落とし込んでいくだけで答案が完成する。細かい憲法論などどうでもいい。

 

行政法

・現場思考問題の配点は意外と高いので、侮れない。

・現場思考問題でも、法的三段論法の形式は死守する。平成21年新司法試験公法系第2問ヒアリングでも、「法的な三段論法がきちんとできるいわば基礎体力があるかどうかということが基本的な分かれ道だと感じる。」と言われている。行政法に限らず、「原則例外」の枠組みは汎用性があるので、迷ったらその枠組みで規範を定立すると意外と何とかなる。

行政法に限らず、模試の復習は怠らない。特に伊藤塾模試の的中率は凄い。

 

〜刑法〜

・刑法に限らず、簡単な問題が出題された時は「どこで差をつけるか」という視点で事案分析・答案作成をする必要がある。「簡単だからこそガッツリ点数を稼ごう」と考えるべきで、「簡単だからテキトーで良い」はナンセンス。

・重要犯罪の主要な構成要件は、しっかり定義を示す。この時に、「定義→当てはめ」の流れを徹底する。「『急迫不正の侵害』とは、法益侵害の危険が現在又は切迫していることをいうところ、本件では〜なので法益侵害の危険が現在又は切迫しているとはいえず、『急迫不正の侵害』は認められない」という書き方が正しい。「〜なので、法益侵害の危険が現在又は切迫しているとはいえず、『急迫不正の侵害』は認められない」とだけ書いたのでは、定義を示したことにはならないし、法的三段論法の形にもなっていない。ただし、本当にどうでもいい構成要件・どうしても時間がない場合は、後者の書き方もやむを得ない。

・刑法に限らず、事実の摘示を徹底する。「丙は20歳と◯歳の甲より◯歳若く、丙は身長180cmと165cmの甲より15cmも高く、体重85kgと60kgの甲より25kgも重い」というのが、正しい事実摘示。「丙は甲より◯歳若く、15cmも高く、25kgも重い」と書いただけでは、問題文の事実を摘示したことにはならない。ただし、どうしても時間がない場合は、後者の書き方もやむを得ない。

・刑法は、紙幅不足に陥る可能性が最も高い科目なので、冒頭で余裕をこいてダラダラ書かない。コンパクト・メリハリの意識を強く持つ。

 

刑事訴訟法

・論点を知らないと現場思考でどうしようもない問題も出るので、網羅的に復習する。

・事実に食らいつく。当てはめ勝負になることが多い科目。

 

〜法律実務基礎科目(民事)〜

・わからない設問で悩みすぎない。大きく差がつくのは、準備書面問題。

準備書面問題は、「供述の信用性を叩き落とせないか」という視点を持つ。

 

〜法律実務基礎科目(刑事)〜

・犯人性の問題は、「反対仮説を排除できるか」という視点で書く。

・公判前整理手続の条文は、全部に目を通しておく。

・公判の進行に伴って争点が大きく変わることもあるので、「この設問との関係での争点は何か」ということを常に意識する。ここを勘違いすると、伝聞の要証事実を間違えるなどして設問を丸々落とす可能性がある。事案が長くて複雑なだけに、要注意。

 

民法

・論点が見え見えの問題こそ、論点までの道筋を丁寧に示す。論点に飛びつくのは論外で、「論点を知らないかのように論述して論点を導く」という意識を持つ。この意識を持てば、自ずと「原則→例外」の枠組みで書くことになる。

・条文番号は可能な限り引用する。商法と同じくらいの意識を持つ。

・近年の民法は、論点ゲーの設問に加えて、条文要件充足ゲーの設問も多い。後者では「どれだけ丁寧に要件に当てはめたか」で大きく差がつくので、条文の文言を可能な限り引用し、事実も可能な限り書き写す。民法も、商法のような条文要件充足ゲーの問題が増えている。

・要件事実に囚われすぎず、実体法上の要件・論点は普通に書く。要件事実ではない条文上の要件ならテキトーに認定していいわけではないし、抗弁事実となる要件から出る論点があれば当然それも書く。

・高確率で改正民法の条文が出るので、復習は丁寧にする。

 

〜商法〜

・頻出の条文は瞬時に引けるように再確認する。要件充足は丁寧にする。

善管注意義務・過失は、「具体的な注意義務を設定→義務違反」の流れを徹底する(民法でも同じ)。

・未知の条文を探す場合には制限時間を設け、それが過ぎても見つけられなければ、諦めて次に進む。他の受験生もどうせ見つけられないので、合否には影響しない。

・高確率で難しい設問が出るが、それを間違えたところで何の問題もないので、気楽に挑む。

 

民事訴訟法〜

・予備民訴は誘導が少なくて難しいが、自分が選んだ解答筋は他の受験生も選んでいる可能性が高いので、自信を持って書く。不安になって雑に書くと、それが正解筋だった場合に、非常にもったいない。

憲法と民訴は、判例が条文のような役割をしている科目なので、常に「この判例の射程は本問にも及ぶか」という視点を持って事案を分析する。