予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

平成26年予備試験民法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活6日目、今日は平成26年予備試験民法を解きました。

 1年以上前に改正前民法で実際に書いたのですが、改正民法で書くのは初めてです。かかった時間は59分でした。

 

〜選んだ解答筋〜

・設問1

 ①562条1項本文は「引き渡された目的物」と規定するが、本問は引渡しを要しない請負契約なので、仕事の終了により担保責任発生(636条本文括弧書参照)→追完請求権に基づく修補請求(559条本文・562条1項本文)。

 ②「契約の内容に適合しない」?→反論→再反論→○。

 ③履行不能との反論(412条の2第1項)→再反論→○。

・設問2は、債務不履行に基づく損害賠償請求(559条本文・564条、415条1項本文)に対する「損害」がないとの反論に再反論を加えて請求を認めた。

 

〜個人的な反省〜

・設問1

 ①追完請求のうちの「修補請求」であることを明示していなかった。

 ②そもそも担保責任が発生しているか、という論述が冗長だった。

 ③履行不能については、「3ヶ月相当な期間か」という点のみを厚く書いてしまった。

・設問2について、「Aが既にA邸をFに譲渡していること」(出題趣旨より)による論点に気づけなかった。

 

 

〜問題の分析〜

・請負の担保責任がテーマであり、改正により大きな影響を受ける問題。

・設問1について、いきなり担保責任に飛びついてはいけない。前提として、そもそも担保責任が発生しているのかを論ずる必要がある。もっとも、本問のように引渡しを要しない請負契約については、仕事の終了により担保責任が発生することに争いはない。そのため、端的に636条本文括弧書を指摘した上で562条以下が適用されることを論述すべきである。なお、建物の建築などの引渡しを要する請負契約においては、仕事の終了により担保責任が発生するのか、引渡しによって初めて担保責任が発生するのか、問題となる。636条本文括弧書を素直に参照すれば、引渡しにより初めて担保責任が発生し、それまでは一般的な債務不履行責任しか追及できないことになる。他方で、請負契約の特殊性を強調すれば、引渡しを要する場合でも、仕事の終了により担保責任は発生するとも考えられる。個人的には後者の方が妥当であると考えるが、現時点では、この辺は学者の間でもあまり議論されていないようである。

・設問1について、次に、契約不適合について当てはめる必要がある。Cの最大の反論ポイントはここであろうから、この当てはめの丁寧さで評価が大きく分かれる。予備試験の民法でここまで丁寧な当てはめ(契約解釈)を要求されるのは珍しいため、その意味でこの問題はイレギュラーである(どちらかと言えば司法試験に近い)。反論を踏まえて書かせる形式も珍しく、この点でも司法試験に近い。出題趣旨でも「論理的思考力」が言及されておらず、明らかに例年と異なる出題意図が読み取れる。

・設問1について、最後に、履行不能(412条の2第1項)との反論に言及する必要がある。旧634条1項を「参照」し、相当な期間が定められていないし、修補に過分の費用を要するし、契約上重要でない不適合であるから、履行不能である、という反論が想定される。このように、請負においては、改正法の解釈の中で旧法を「参照」するという、よくわからない現象がしばしば起きる。改正法の解説本などを読んでも、旧法を手がかりにして解説しているものが多い。そのため、請負については、解釈に必要な限度で旧法の知識をストックしておく必要がある。

・設問2については、現場思考問題である。「損害」という要件が問題となることは誰でも気づくため、あとはそれをうまく処理できるかである。ただ、これはそもそも論点ですらないように思われる。売却価格に影響がなければ遡って契約不適合が治癒される、なんてバカな話があるわけない。債務不履行の事実は変わらないし、それによって「損害」が生じた事実も変わらない。当たり前すぎて逆に論述に困るくらいではあるが、自分なりの言葉で説明できれば十分評価されたはずである。「Aが既にA邸をFに譲渡していること」(出題趣旨より)についても、上記の論述内容と実質的に重なる部分が多いが、こちらは「注文者という地位」に着目している。もっとも、売却したからといって注文者としての追完請求権は消えるわけがないから、債務不履行に基づく損害賠償請求ができなくなるわけではない。以上の2つの反論については、いずれも「別次元の問題」をそれっぽく言っているだけなので、そもそも反論というより「屁理屈」に近い。現実でも、こういう「屁理屈」がうまい弁護士は多いと思うので、私が弁護士になった後は、そういう弁護士を容赦無く論破していきたい。

 

〜予想採点実感〜

民法改正により、書くべき内容が出題当時とは大きく変わったため、不明である。

 

 こんな感じですかね〜。昨日の平成25年民法に引き続き、民法改正がダイレクトに影響する問題です。また、本問は例年の民法とは傾向が異なるため、予備試験対策という意味では必ずしも解く優先順位は高くない気もします。では、なぜあえてこの問題を書いたかというと、担保責任(契約不適合)の書き方について一度練習しておきたかったからです。改正が絡む問題といっても、担保責任の条文操作くらいは論文で出題されても文句は言えません。この辺の条文操作は意外と難しいので、復習の契機となるという意味においては、良い問題です!

 

 今日の一曲…Jauz - In the Zone (feat.Example)