予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

平成26年予備試験民事訴訟法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活7日目、今日は平成26年予備試験民事訴訟法を解きました。

 完全な初見ではないですが、実際に書いたのは初めてです。かかった時間は56分でした。

 

〜選んだ解答筋〜

・設問1

 ①引受承継の申立て(50条1項)はできない。

 ②明文なき主観的追加的併合はそもそも認められない。

 ③別訴提起して弁論併合(152条1項)の申立てをするしかない。

・設問2

 ①義務承継人として参加(51条前段・49条1項)→訴訟状態帰属→自白→信義則に反しない→争えない。

 ②51条前段→47条4項→40条1項→争える。

 ③50条3項→41条1項→39条→争える。

 

〜個人的な反省〜

・珍しくほぼ完璧な答案が書けたので、特になし。

 

〜問題の分析〜

・訴訟承継という穴になりがちなテーマだが、基本的な条文を理解していれば簡単な問題。

・設問1について、まずは訴訟承継の可否を一応検討するも、訴訟係属前の義務承継であるのは明らかなので、必ずしもこれに言及する必要はない。次に、明文なき主観的追加的併合の可否を検討する。判例・実務はこれを否定している以上、あっさり否定すべきである。明文なき主観的追加的併合を肯定する論述までは求められていない。書く分量が増えるだけであるし、そこで誤った理解を示せば積極ミスとして減点されるだけなので、むしろ書かない方が良い。これを肯定する方向で書かせたい場合には、平成20年新司法試験民事系科目設問3のように出題されるはずである。そのため、深く考えずに論証を吐き出し、「別訴提起して弁論併合の申立て」と結論づけるのが最も流れが良い答案といえる。

・設問2の①は、義務承継人として参加(51条前段・49条1項)していることに気づければ、あとは訴訟状態帰属効による原則を示して修正を試みれば足りる。結論として、Yの陳述が馴れ合い訴訟とか信義則に反するとかいうことはできず、原則通り訴訟状態がWに帰属される。

・設問2の②と③は、条文を指摘するだけの基本的な問題である。

 

〜予想採点実感〜

・設問1については、「別訴提起・弁論の併合の方法によることや主観的追加的併合の許否」(出題趣旨より)について、多くの答案で適切に論述されていた。しかし、それ以外にも、共同訴訟参加や補助参加など、およそXの要望に応えられない手段を列挙する答案が多かった。あくまで本問はXの要望を満たすために採り得る手段の検討を求めているのであるから、ただ闇雲に手段を列挙しても基本的には評価されない。そのような答案を作成した者については、具体的な事案を検討する際に、「なぜその手段を選んだのか(選ばなかったのか)」という視点を持って分析する習慣を身につけることを強く推奨する。

・設問2①については、多くの答案が的外れな検討をしており、非常に残念であった。まず、Wの参加形態を独立当事者参加として論述している答案が一定数あった。しかし、Wは権利ではなく義務を承継した者であるから、詐害防止参加(47条1項前段)や権利主張参加(同項後段)はなし得ないはずである。かかる誤りの原因は、制度趣旨を正確に理解していないことにあると思われる。次に、「承継人の意義が問題となる」などと問題提起をし、長々と一般論を論述している答案も一定数あった。しかし、問題文には「参加した」と書かれているのだから、参加の可否について言及する必要はない。具体的事案と関係のない一般論を論述する答案がこれほど多く見られたのは、パターン化した論証を何も考えずにとりあえず書く、という悪しき機械的学習の弊害といえる。また、Wが義務承継人として参加したことを指摘できている答案でも、いわゆる訴訟状態帰属効について言及している答案は多くなかった。そのため、受験生全体として、訴訟承継に関する基本的な条文や概念の理解があやふやになっていることが明らかとなった。もっとも、ごく一部の答案では、原則として承継時点での訴訟状態がWに帰属することを論述した上で、訴訟状態帰属効の根拠に立ち返り、例外的に帰属しない場合があることに言及し、具体的な検討をしていた。かかる答案は、基本的概念の正確な理解を前提に、具体的妥当性を図るための応用力も備えているものとして、高く評価した。

・設問2②及び③は、訴訟承継の基本的な条文の理解を問うもので、ごく基本的な問題である。しかし、適切に条文を引用している答案はほとんどなく、非常に残念であった。確かに、民事訴訟法は抽象的で難解な概念も多く登場するが、本問は条文の正確な理解さえしていれば十分解答できるのであり、その意味で平易な問題である。そのため、受験生全体として、民事訴訟法の基本的な条文への正確な理解が疑われる結果となった。

 

 

 こんな感じですかね〜。本問は特に現場思考も要求されず、訴訟承継を理解していれば非常に簡単な問題だと思います。ただ、訴訟承継は条文操作がややこしく、短答でも穴になりがちな分野です。そのため、本問は訴訟承継の理解を確認するには良い問題だと思います!

 

 今日の一曲…Avicii - Broken Arrows