予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和2年予備試験憲法

 こんにちは、アポロです。予備試験の出題趣旨が発表されたので、今日はそれを踏まえた上で憲法の反省点について書きます。

 憲法は、A評価でした(予想ではC評価でした)。ただ、後述の通り、問題の本質に全く気づいていないため、超上位ではないと思います(100〜200位くらい?)。

 

 〜評価されたと思われる点〜

・審査基準を導く過程で詳細な論証ができた。権利の性質について、「取材活動の自由の重要性」という一般論で終わらせず、「犯罪等に対する取材活動を行う社会的意義」等についても踏み込んで書いた。規制の態様について、「確かに〜、しかし〜」の形で審査基準を緩める方向に流した。最後に内容中立規制であることも慌てて付け足したが、これがどう評価されたのかは不明である(取材の自由についても「内容中立規制」ということを観念できるのか?)。まぁ、憲法については、こういう思いつきを書いても温かい目で評価してくれる印象があるので、「そういう考え方もあるね」と軽く流されたのだと思う。

・問題文の事実・フレーズを引用しまくった。例えば、「何の落ち度もなく悲嘆の極みというべき状況に置かれた犯罪被害者等」という言い回しは、是非このフレーズを使ってくれという出題者の意図が感じられたので、何度も引用した。そのため、「問題文の事実に食らい付いている」という印象を与えられたと思う。

・必要性の当てはめでは、「確かに、原則と例外を逆にすべきとも思える」、「しかし、不同意の意思表示それ自体が、何の落ち度もなく悲嘆の極みというべき状況に置かれた犯罪被害者等にとっては煩雑であり、私生活の平穏が害される」という切り返しを書けた。「原則と例外を逆にすべきではないのか」という反論は、新司法試験ではお決まりパターンである。勉強の成果が出たと思う。

・「捜査機関による回答」をどう使うかは非常に悩んだが、「これにより取材活動に対する萎縮効果が緩和されている」という評価を加えることで、何とかねじ込んだ。この事実を使えるかどうかで大きな差がついたのではないかと思う。

 

〜もっと上位に行くために〜

・問題の本質に全く気付いていないのが痛い。例えば、「メール等も禁止するのは規制範囲が広すぎないか?」、「捜査機関も公的機関だが同意のルートにして良いのか?」、「時間の経過と共に被害者の心情も変化するのではないか?」という点について、全く触れていない。その原因は大きく分けて2つある。
 ①直感で合憲だと決めつけたため、無意識のうちに違憲方向の事実を無視していた(いわゆる「確証バイアス」である)。三者間形式なら、逐一反論を考えるため、このようなことは起こりづらかった。ただ、本問のように何らの形式的制約がない場合・主張反論で書けば足りる場合には、意識的に反対方向の事実を探さないとこういう失敗をする。「反対方向の事実があれば言及しよう」という姿勢ではダメで、「何か反対方向の事実はないか?」と積極的に探す必要がある。

 ②規制範囲が広範である点については、多くの再現答案で言及されていた。それにもかかわらず、自分は全く気づかなかった。その原因は、「素人的感覚で問題文を読む」ということができなくなったからである。自分はテクニック的な部分ばかり考えて書いていたため、常識的感覚が答案に全く反映されていない。振り返ると、今までもそういうことは多かったかもしれない。ガチガチの法律答案を作成する中でも、素人的目線で問題文の事実を読み直すことも大切だと感じた。

・上記2つの反省点は、他の法律科目にも当然に妥当する。憲法以外の科目でも改善する。

 

〜予想評価とのギャップの原因〜

・「明確性の原則」に配点が一定程度あると思っていたので、それを落とした以上AやBは無理だと考えていた。しかし、出題趣旨は一言も「明確性の原則」に言及していないため、おそらく配点はほぼなかった。そのため、このようなギャップが生じた。

 

〜総括〜

憲法は、司法試験の採点実感をもっと読み込むべきだと感じた。もっと採点実感を読み込んでいれば、「明確性の原則」に配点があるなんて考えるはずもなかった。憲法は他の科目と異なり、論理的に問題になる点を全て論じると、むしろ点数が低くなる(特殊な基準で採点されている)。採点実感に「センス」という言葉が何度も登場しているが、それは正にここに現れる。憲法は、何が主たる論点かを見極め、それに関連する事実を全て拾い、適切な位置にそれぞれ落とし込んでいくだけで答案が完成する。細かい憲法論などどうでもいい。判例についても、中途半端な知識ならむしろ有害である。反省点としては、反対方向の事実を拾えないこと・素人的感覚で問題文を読めないことなので、まずはそれを改善しようと思う。

 

〜司法試験に向けて〜

憲法ガール(≒司法試験過去問)を総復習し、憲法の感覚を取り戻す

・平成30年〜令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・短答対策をする中で出てきた重要判例を軽く復習する(ただし百選まで読む必要性は低い)

 

 

 こんな感じですかね〜。重要論点を落としまくった割りには評価が良かったので、基本的な憲法の答案の書き方・点の取り方は正しいのだと思いました。この点は大きな自信になりました。あとは本番でどれだけ応用的な部分に食らいつけるかで、超上位か否かが決まります。判例知識の重要性は承知の上ですが、これ以上は手を広げないつもりです。具体的には、「司法試験過去問で登場した判例の使い方(射程)」に絞って深く復習しようと思います。予備論文前は、ヤマを当てようとやたら判例集を読んでいましたが、多分これは効率が悪かったです。ここも反省点なので、改善します。

 さて、先ほど司法試験に出願し、遂に自分も司法試験受験生になったのだと強く感じました。これで油断して司法試験に落ちたら何の意味もないので、気を引き締めていきます!