予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和2年予備試験行政法

 こんばんは、アポロです。今日は行政法の反省点について書きます。

 行政法は、E評価でした(予想ではB評価でした)。唯一、自己評価との乖離が大きかった科目です。そして興味深いことに、私の周りの合格者は、誰一人として行政法でAを取れていません笑。上位合格者でも、EとかFの人も結構います(良くてもB)。一体、何が起きているんでしょうか笑。令和元年の民訴みたいになっています。「これは流石に問題が悪い」と言いたいところですが、Aを取って合格している方も当然いるので、実力不足であることに変わりはありません。なので、ここは謙虚に、自分の敗因を分析していきます。

 

 〜設問1における失敗〜

・設問1の配点を見誤った可能性が高い。問題を見た瞬間に、「どうせ皆書けないから捨てよう」と諦めてしまった。他の科目でも結構これをやっているが、評価にはさほど影響していない。しかし、行政法ではそのスタンスが致命傷になったようだ。設問1と設問2の配点比率は3:7くらいだと思っていたが、おそらく設問1の配点は4以上あった。この入り口の判断から間違っていた可能性が高い。

・行政契約の判例について全然理解していなかった。そのため、「行政契約である」という認定をして以降、何を書くべきか全くわからなかった。これはシンプルに勉強不足であり、この試験全体を通じて、唯一インプットが足りなかったと感じた点である。ただ、現場思考で十分対応可能であったといえるため、これは本質的な問題ではない。

・現場思考で全く対応できなかった。まず、「問題文のヒントに敏感になる」という普段から意識していることを、実践できなかった。また、法律の趣旨を書いてみたり、事実を一応拾ってはいるが、その大枠がない。つまり、法的三段論法ができていない。これが最大の失敗だったと思われる。自分の再現答案を改めて見ると、ただの素人の作文である。行政法で良い評価を得ている人は、少なくとも何かしらの規範を書いている人が多い。たとえ附款として書いたとしても、法的三段論法の中で事実を拾えていれば、それなりに評価されたようである。「契約」ということから「公序良俗違反」を想起したり、反対利益に配慮したり、やりようは色々あった。このように、法律家に必要な思考ができず、しかも法律文書のごく基本的な作法ができていないのだから、低い評価を付けられたのは当然といえる。現に、平成21年新司法試験公法系第2問のヒアリングでは、「法的な三段論法がきちんとできるいわば基礎体力があるかどうかということが基本的な分かれ道だと感じる。」と言われている。

・文章が全く論理的ではない。どう考えても出題趣旨に近い内容を書けていないのに、なぜか書けた気になっていた。もう少し時間を掛けてでも、問題文としっかり向き合い、「何が出題趣旨か」ということを探るべきだった。あまりにもあっさりした論述で、しかも、自分で読んでも意味がわからないので、設問1はほとんど点数が入らなかったと思われる。「早く設問2に行って俺の凄さをアピールしたい」という気持ちで、凄く雑に書いてしまったのを覚えている笑。

 

〜設問2における失敗〜

・「本件通知の法的根拠の有無」という題意に薄っすら気づいたものの、よくわからないのでスルーしてしまった(「一方的だから公権力性あり」とだけ書いた)。どう考えても争点なのに、考えるのが面倒になりスルーしてしまった。我ながらアホだと思う。

・自分の書きたいことを書いてしまい、暴走気味の論述になった。良い評価の答案を見ても、特別凄いことを書いているわけではない。むしろ、自分の答案の方が本質に迫っているのではないかとすら思う。でも、おそらくそれは自己満足にすぎない。知っている判例の知識をひけらかしたが、それさえも微妙にズレていたのだと思う。心証としては最悪だろう。「何を書くべきか」ではなく「何を書きたいか」という思考になっていたのは、大問題である。

 

〜予想評価とのギャップの原因〜

・思考を放棄した上に(設問1)、書きたいことを書くという(設問2)、典型的な自己満足答案になっていた。つまり、考査委員が落としたいと思う受験生の典型例になっていた。逃げ方を間違えた結果、考査委員の逆鱗に触れてしまったともいえる。しかも、答案が評価されるまで、そのことに気づかなかった。とても良い勉強になった。

 

〜総括〜

・色々反省したが、正直、「これでEは厳しくね?」と未だに思っている自分がいる。そもそも、この問題は未だによくわからない部分もあるので、もっと分析する必要がある。とはいえ、行政法だけ典型的な自己満足答案を作成したことは紛れもない事実である。「現場思考でも食らいつく」「書きたいことではなく、書くべきことを書く」という当然のことを、行政法だけ実践できなかった。この点は大いに反省しなければならない。

・「なぜ(上位)合格者に行政法Aが極端に少ないのか?」という点について、自分なりの見解を示す。結論として、今回の行政法については、知識ではなく思考力の部分に高い配点が置かれていた可能性がある。合格圏内にいる人間ほど、設問1の問題を見た時に、自分の知識に強引に引き付けて書くという傾向が顕著だったのかもしれない(現に附款で構成した実力者は一定数いる)。設問2については、各々が知っている判例の事案に強引に引き付けて書いたことで、暴走気味の答案が目立ったのかもしれない。つまり、知識がそれほどない人ほど、純粋に問題文と向き合うことで、正解に近いことを論述できた可能性がある。そして、知識の部分の配点を下げ、思考力の部分の配点を上げたのだと考えれば、今回の結果も納得が行く(かなり極端に作用した感は否めないが)。考査委員が合格させたいのは、知識で武装してきたベテラン受験生ではなく、思考力のある「純粋な」受験生である。とはいえ、知識が不要である・有害であるというつもりは毛頭ない。むしろ、設問1については、判例を知っていれば思考力などそれほどなくても良い点がつく。大切なのは、「知識で武装しつつも、知識がないかのように思考し、その過程を答案に表現すること」だと考える。

 

〜司法試験に向けて〜

行政法ガール(≒司法試験過去問)を総復習し、行政法の感覚を取り戻す

・平成26〜27年・令和2年については答案作成し、司法試験の問題文の長さ・時間感覚に慣れる

・訴訟要件・本案勝訴要件・重要判例・行政手続法等の超重要分野に絞って復習する

 

 

 こんな感じですかね〜。未だに納得いかない部分もあり、よくわからないことだらけです。この先も分析を重ね、司法試験までには完全に納得できるようにします。このままだと、司法試験でも同じ失敗を繰り返しかねないので、個人的には要注意な科目です。