予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

コンプリート論文答練 商法 第5〜8問

 こんにちは、アポロです。

 『コンプリート論文答練 商法 第5〜8問』の答案が返却されたので、その反省と今後の勉強の指針について書きます。

 

〜第5問…36点(推定A)〜

 ・設立は「開業準備行為まで及ぶ」という自説からはしっかり書けたが、「開業準備行為は含まれない」という立場に変えることにした(こちらの方が実務的な感覚に近いらしいので)

 ・事業譲渡もしっかり書けたが、「一人株主が総会決議を経ずに事業譲渡した場合」という応用的な議論が紹介されており、勉強になった

 

〜第6問…27点(推定C)〜

 ・まさかのブルドッグソース事件でびびった(普通に書けたが、あと10年は出ないと思う)

 ・「事後の防衛策」であることや「仮処分命令の適否」に一切言及しないために低い点数となったが、やや実務的な内容であることに加えて、今年の予備試験も敵対的買収防衛策が出るとは到底思えないので、復習は不要

 

〜第7問…21点(推定D書き直し)〜

 ・設問1は、「招集通知がEにされなかったこと=299条1項違反」を不存在事由として展開してしまい、出題意図からズレた答案になった。最判昭和33年10月3日や大阪高判平成2年7月19日がある以上、このような問題意識も間違ったものとはいえない。しかし、(←126条4項があるので普通に間違いですね。勉強不足でした。)問題文に「法定相続分の限度で権利行使することについて同意」という事情がある以上、106条の問題を厚く論ずべきことは明らかなので、そこに一切気づかなかったことは猛反省しなければならない。106条自体は去年の予備試験にも出題されているところで、この条文や平成27年判例が今年も出題される可能性は高くないが、もっと抽象的なレベルで、このように題意から大きく外す論述を今後なくす必要がある

 ・設問2は、「生の主張から請求を立てる」という民事系王道の書き方をしようとした結果、わけがわからなくなってしまった。つまり、Cの弁護士になったつもりで書こうとしたため、「本件決議②が361条1項違反」ということを請求で言うはずがないし、会社が反論で自らの決議の違法を主張するのもおかしい、と考えてしまった。その結果、決議の適法性に一切言及せず、全体的に方向性がズレた論述となった。ただ、問題文から本件決議②の有効性を論じてほしいことは明らかであったし、多くの人はこれ書いてくるはずなので、「生の主張から請求を立てる」という書き方にこだわりすぎず、割り切ることも必要なのだと感じた

 

〜第8問…36点(推定A)〜 

 ・設問1は、初めて手形法の問題を解いたが、満点だったので自信になった

 ・設問2は、「間接取引該当性との関係で、会社を代表して相手方と契約するのが、利益を受ける取締役であるのか、それ以外の当該会社の代表取締役であるかは問わない」ということを知らなかったので、ややテンパった。そのため、「自説である外形的・客観的基準説だと間接取引認定ができない」と考えて実質的・主観的基準説を展開した。その結果、Qの存在を完全に無視した当てはめとなってしまい、そこで減点された。いい勉強になった

 

〜総括〜

 ・点数に波があり、あまり安定していない

 ・出題意図から大きく筋を外してしまうことがある、という自分の悪い癖が顕著に現れた

 

〜今後の勉強の指針〜

 明らかにアウトプットの力が不足していると感じたので、そこを改善していきたい。具体的には、論点抽出能力である。最近、「あの論点だ」と考えた瞬間にその論点に関連しそうな事情しか読まなくなる結果、大きく筋を外すという答案が続出している(民訴・刑法でもあった)。本来書くべき論点は知っているが、違う論点を想起した瞬間から本来着目すべき事情が見えなくなるのである。これはかなり深刻な問題で、論点自体は知っている以上、勉強量を増やせば改善される類のものではない。そうではなく、行為規範やアウトプットというレベルの問題であり、演習をこなす中でしか改善できない類の課題だと感じている。問題研究や『事例で考える会社法【第2版】』を完璧にした私が知識レベルの実力不足で失敗することはないが、このようなアウトプットレベルの実力不足で失敗する可能性は今のままだと十分にある。そして、そのような失敗の仕方は非常に悔しいものであり、許し難いものである。そのため、以下のような自問自答をすることで(本田圭佑風)、論文直前答練及び本試験ではこのような失敗は絶対にしないようにする。

 ①問題文の事情から瞬間的に論点を想起できた→「本当にその論点は出てくるのか?都合の良い部分だけ読んでないか?書くとしてもそれがメイン論点なのか?」

 ②Aという筋とBという筋で迷う→「出題者が聞きたいことは何だ?アクロバティックな構成になってないか?どっちが書きやすい?」

 ③何を書けばいいかわからない→「問題文を一言一句読んだか?誘導やキーワードはないか?周りの受験生は何を書いてくる?」

  

 こんな感じですかね〜。全8問の平均が34点(推定B)で、目標の35点(推定A)には1点届きませんでした。6問が35点超えで、2問が20点台という波のある結果になってしまいました。今のままだと商法は「AかD以下か」みたいな極端な結果になってしまいそうです。これは自分の他の科目にはない傾向で、実はこの答練を受ける前から商法はずっとそんな感じでした。そういう意味では、この課題についてはこの答練では十分に改善できなかった、ということになりそうです。ただ、出題意図を正確に捉えた後の処理が格段にうまくなったことは点数に現れていると思うので、そこは自信を持っていいと思っています。

 3月も中旬に差し掛かり、この答練もあと2回で終わります。そして、それが終わったら短答onlyの勉強に切り替えるので、残りの答練もしっかりやり切ります!