予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

平成24年予備試験商法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活3日目、今日は平成24年予備試験商法を解きました。

 完全な初見ではないですが、実際に書いたのは初めてです。かかった時間は67分でした。

 

〜選んだ解答筋〜

・設問1

 ①直接取引・間接取引のいずれにも当たらないので会社法上の問題なし。

 ②商法526条2項後段の要件満たすので解除は制限されない。

・設問2

 ①河本フォーミュラ。

 ②Zに害意はないのでY社は支払請求拒めない。

 

〜個人的な反省〜

・設問1について、利益相反取引を書いただけで満足し、「重要な財産の譲受け」という超重要論点を落とすに至った。問題文には複数のヒントがあったため(「1億円」、「決定」など)、ここは落としたのは致命傷になり得る。

・設問1について、直接取引該当性は三段論法崩しなどでもっとコンパクトに書くべきであった。「重要な財産の譲受け」という論点に気付かなかったために時間に余裕があると錯覚していたが、仮に同論点を書くならば、利益相反はあっさり否定すべきである。今後の出題に備えて、コンパクトに書く癖をつける必要がある。

 

〜問題の分析〜

・商法や手形法も問われているが、基本的な論点の組み合わせ問題であり、比較的簡単。

・設問1について、Y社からみて、直接取引が否定されるのは当然である。間接取引についても、通説の立場(外形客観説)からは、取締役というだけでこれを肯定するのは困難である。他方で、実質主観説からはこれを肯定する余地は十分にある。そのため、自説から適切に当てはめていればどちらの結論でも構わないと思われる。もっとも、ここで利益相反を肯定すれば、承認を欠く利益相反取引の効力を論ずる必要があるし、設問2において手形行為の利益相反該当性を論ずる余地も出てくる。したがって、間接取引も否定した方が圧倒的に楽である。

・設問1について、X社からみて、利益相反取引(直接取引)に当たることを認定し、これによる無効をY社が主張できるか、という論点は書く必要がない。問題文を素直に読めば、このような論述が要求されていないことは明らかである(「Y社からみて」)。仮に上記論点をダイレクトに聞きたいならいくらでも問い方はあるのであり、少なくともメイン論点ではない。したがって、X社でも取締役会決議を経ていないという事実は、利益相反取引の正確な理解を問うための「引っかけ」的な事情にすぎないと思われる。

・設問1について、「重要な財産の譲受け」の当てはめとして使える事情はあまりない。同論点に気づいて「1億円」という事実に着目していれば十分だったと思われる。

・設問2については、商法526条2項を引ければ、あとは当てはめるだけである。

・設問3については、河本フォーミュラを書ければ、あとは当てはめるだけである。

 

〜予想採点実感〜

・「会社法第356条第1項第2号(会社法第365条第1項)の利益相反取引の該当性及び取締役会の承認を受けない利益相反取引の効力」(出題趣旨より)については、適切に論じられている答案とそうでない答案とで大きな差がついた。まず、問題文に「Y社からみて」と明記されている以上、X社からみて利益相反取引に該当することを前提にその無効をY社が主張できるか、という点についての論述が要求されていないことは明らかである。そのため、上記問題点「のみ」を論述するのでは問いかけに答えたことにはならない。問いかけの趣旨を正確に把握するというのは法律家として不可欠な能力であるから、そのような読み方をしてしまった者は、誤った読み方・理解をしないように慎重に問題文を読むよう心がけてほしい。かかる誤解をしていない答案でも、利益相反取引の理解が疑われる答案が相当数あった。形式的に条文の文言に当てはめるだけでなく、解釈が問題となる場合には自説を正確に論述する必要がある。利益相反該当性を肯定した答案の多くは、取締役会の承認を受けない利益相反取引の効力について、適切に論じられていた。

・「会社法第362条第4項の取締役会による決定を要する場合の該当性及びこの場合において代表取締役がその決定を経ないで業務執行をしたときの効果」(出題趣旨より)については、一切論じていない答案も一定数あった。そのような答案の多くは利益相反取引該当性のみを論じていたが、1つの行為が複数の法的観点から問題になることは何も珍しいことではない。1つの行為を多角的な法的視点から分析する能力は法律家には当然に要求されるから、上記問題点に気づかなかった者は、常にそのような意識を持って事案を分析するよう心がけてほしい。また、上記問題点に気づいた答案においても、本問ではおよそ使えない考慮要素を複数並べた上で、「1億円は一般的に高額である」などとしか述べていないものもあった。パターン化された論証を何も考えずに書いているというのであれば、それはそれで大きな問題である。あくまでも、そのような「論証」が「具体的な事案との関係でどの程度解決に資するのか」という意識を持って、必要な限度で論述してほしい。事案の解決に関係のない一般論を長々書いても、それが評価されることは基本的にない。

・「商法第526条の適用要件」(出題趣旨より)については、多くの答案で適切に同条を引用できていた。もっとも、同条を根拠に解除が認められるかのように読める答案が一定数あった。また、解除の根拠条文も示さずに同条を引用している答案が相当数あった。本問は「商法上」の問題点を問うものではあるが、民法の条文についても必要な限度で適宜引用してほしい。

・「手形法第17条ただし書(手形法第77条第1項第1号)の「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ」の意義」(出題趣旨より)については、ごく基本的な問題であるにもかかわらず、正確に論述できている答案は多くなかった。受験生全体として手形法の学習が疎かになっていることが窺える結果となった。

 

 

 こんな感じですかね〜。本問は比較的簡単でしたが、「重要な財産の譲受け」を落とした点については猛反省ですね。この辺の論点は意外とミスるので、気をつけたいです。次に、本問は、「問題文のメッセージを読み取る能力」も要求されました。設問1のような問題が出た時に、アクロバティックな構成で書かないように気をつけたいです。また、昨日の平成23年商法に引き続き、本問もメリハリが重要でした。予備試験の商法は他論点であることが多いので、過去問を通じて「できるだけコンパクトに書く」という練習をしていきます。やはり予備試験の過去問は学ぶことが多い!

 

 今日の一曲…Galantis - Holy Water