予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

平成23年予備試験行政法

 こんにちは、アポロです。毎日過去問生活20日目、今日は平成23年予備試験行政法を解きました。

 実際に答案を書いたのは、10ヶ月ぶり2回目です。かかった時間は51分でした。

 

 

〜個人的な反省〜

・設問1については、結論として処分性を否定したが、本件不同意決定それ自体の法的効果を論じずに、いきなり命令や公表の検討に入ったのはまずかった。また、勧告は事実行為であり、命令は処分であることにも言及するべきだった。

 なお、処分性を肯定している答案の方が多いが、これは結局、最決平成17年7月15日の射程をどう考えるかの問題である。百選Ⅱp333には、「より一般化すれば、(a)'不利益的な後続行政処分との『相当程度確実』な連動(判旨(ⅰ))と(b)'後続処分の不利益性の深刻度(判旨(ⅱ))に着目していることになる。」と書いてある。仮にこの判例の射程を本問にも及ぼすなら、本件条例7条柱書が「命令することができる」という行為裁量に加えて「勧告」との選択裁量を認めていることから、「相当程度確実」とはいえずに処分性を否定する方向に傾く。他方で、上記判例では勧告と保険医療機関指定の根拠法令が異なるが故に「相当程度確実」であることが要求されていたと考えれば、上記判例の射程は及ばず、処分性を肯定する方向に傾く。結局のところ、法の仕組み解釈をする姿勢と上記判例への最低限の理解を示せれば十分である(正直かなり微妙な事案ではある)。

 実行的な権利救済の観点については、もはやよくわからない。個人的には、中止命令を出された段階でその取消訴訟を提起すれば足りるように思われる。なお、中止命令の差止訴訟を提起することを検討している答案もあったが、「重大な損害を生ずるおそれ」という要件を満たさないことは明白であるため、適切でない。公表の差止訴訟を検討するならまだわかるが、原告としては、あえてハードルの高い訴訟を選択する必要はない(公表の処分性が否定されるリスクが高い上に、仮の差止めの要件は執行停止の要件より厳しい)。他方で、「できる」との規定から命令が出されるかはわからないため、不安定な状態を解消するべく、本件不同意決定に処分性を求めるべき、との見解もあり得る(最判平成24年2月3日参照)。

 こうしてみると、本件条例7条柱書の「できる」との文言が、処分性を肯定をする方向にも否定する方向にも使えることになる。合格レベルとしては、自分の立場から仕組み解釈をしている姿勢を見せるだけで十分と思われる。私自身行政法はよくわからないことも多いので、これ以上は深入りしないでおく。

・設問2については、全体的に要件の検討が甘かった。取消訴訟原告適格では、「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)という文言に当てはめていないし、訴えの利益も「本件不同意決定を取り消す必要がある」としか書いていない。解釈が問題とならない場合こそ、丁寧に当てはめられるかどうかで差がつくはずであるから、この姿勢は改める必要がある。申請型義務付け訴訟では「一定の処分」(同3条6項2号)についても当てはめたが(同意決定について)、この点は不要だったようである。手元にある予備校のテキストや基本書でも、申請型義務付け訴訟の要件として「一定の処分」を挙げているものはない。おそらく、申請において求めていた処分が対象となる以上、同要件が満たされないということは事実上あり得ないため、あえて要件として挙げられていないのだと思う。今後は申請型義務付け訴訟の要件として同要件を検討しないようにする。

 

 

 こんな感じですかね〜。出題当時は行政法が司法試験科目になって間もない頃だったので、合格レベルの答案を書くという意味では比較的容易な問題でした。ただ、処分性の検討はあらゆる解答筋が想定されるところで、深く考えると難しい問題だった気もします。良問です!

 

 今日の一曲…Cedric Gervais vs Superorganism - Everybody Wants to Be Famous (Cedric Gervais Remix)(Edit)