予備試験無双

令和2年予備試験合格(短答・論文・口述全て二桁前半の順位)

令和3年予備試験刑事訴訟法

 令和3年予備試験刑事訴訟法の答案構成をしたので、私の雑感について書きます。

 受験生のリアルな悩みを体験するため、私はこれを先入観が一切ない状態で解きました。また、このブログを書いてる現時点においても、何の文献も参照していません。しかも、私が法律の問題を解くのは2ヶ月ぶりです。そのため、以下の内容は多分に誤りを含んでいる可能性があります。その点はご了承下さい。

 そもそも、これは正解筋の解説というよりは、「予備合格者でもこんなもんか」と知ってもらい、安心してもらうための企画です。私自身、令和2年予備論文ではいくつかの設問で解答筋を大きく外しました。そのため、今回もいくつかの設問で解答筋を大きく外している可能性があります。なので、以下の内容はあくまで参考程度に読んで下さい。

 

 

〜答案構成〜

 

第1 設問1

 1 212Ⅱ?

 (1) バッグ所持→2号○、声かけたら逃げた→4号○

 (2) 「罪を行い終つてから間がないと明らか」?

  ア 時間的場所的近接性のこと、複数の各号該当性があれば緩やかに判断

  イ 約2時間・約5km→時間的場所的には離れてるが緩やかに判断できるので○

  ウ ○

 (3) 明白性も要求される→2号・4号に該当、犯人の特徴とも一致→○

 (4) 必要性も要求される→逃亡のおそれあり、バッグ捨てたので罪証隠滅のおそれあり→○

 2 ○

第2 設問2

 1 39Ⅲ本?→「捜査のため必要があるとき」?

 (1) 判例の規範(間近い時に実況見分等で被疑者を必要とする確実な予定がある場合含む)

 (2) あてはめ(直後に甲に案内させた上で実況見分等する予定あり)

 (3) ○

 2 39Ⅲ但?→「被疑者の防禦の準備をする権利を不当に制限」(初回接見)?

 (1) 判例の規範

 (2) あてはめ

   ・甲と共犯者しか知らないナイフを捨てた場所に行ってナイフという重要証拠を押収するための引き当たり捜査なので、共犯者や第三者がこれを見つける前に行く緊急性が高い

   ・10月の午後5時30分ともうすぐ日が暮れる時間なので、現場に到着する頃には暗くなることが見込まれ、今行かなければ明日になるまで行えない可能性がある

   ・Rは午後8時以降という比較的近接した時間帯なら可能と言っていた

   ・Rは短時分の接見でも可能かどうかをSと協議・検討したが、意見は折り合わなかった

 (3) ○

 3 ○

(所要時間13分)

 

 

〜雑感〜

 

・難易度としては、例年と比べてもかなり簡単だと思う。

 

・検討すべき条文・論点は明らかな問題で、理論的に悩ましい部分も特になかった。このような問題では少しの勘違いが大きな失点に繋がるので、慎重に検討したい。また、答案構成を終えた段階で「どこで差をつけるか」という意識がないと、書けたつもりでも評価が伸び悩む可能性が高い。

 

・設問1については、準現行犯逮捕を検討すべきことは明らかで、各々が用意した枠組みで淡々とあてはめれば足りる。伊藤塾では、私の答案構成のように接着性と明白性を完全に分けて検討するように教わるが、これは多くの学者にとって違和感ある書き方なので、最善ではないことは承知している。ただ、このような書き方で教授に答案を見せた時も「違和感がある」と言われただけで大きな減点はされなかったし、何より個人的には伊藤塾スタイルの方が書きやすいので、別にこの書き方でも大きな問題はないと思われる。それよりも、具体的なあてはめが勝負である。2号と4号該当・約2時間・約5kmというのは、判例と比較しても違法の疑いが強いようにも思われる。ただ、少なくとも私の書き方では、接着性で切ると明白性・必要性が書けないので、答案戦略的にやや強引に適法という認定をしてみた。率直な感覚では、「おそらく違法だけど頑張れば適法にできないこともない事案」という感じ。

 

・設問2については、「初回接見」という論点に飛びつかないように気を付けたい。まずは、39Ⅲ本文について論点を書き、同項但書の文言解釈の中で初回接見の論点が出てくる。論点は知っててもこの書き方を知らなかった人はそれなりにいそうである(この点は『ロースクール演習刑事訴訟法』でも注意喚起されている)。この書き方さえ知ってれば、後はそれぞれ判例の規範を貼って当てはめるだけである。稀に「初回接見で接見指定をすることは常に違法」のように誤った覚え方をしている人がいるが、この事例で違法にするのは流石にあり得ないと思う。どう考えても適法にすべき事案なので、この設問については結論自体に点数が振られているはずである(間違って違法にしたら致命傷は免れない)。結論自体は適法でも、「ナイフ押収の引き当たり捜査の緊急性が高い」という事実を規範のどこに対応させるかは悩むべきかもしれない。何も参照していないので確かではないが、規範の中にこれと上手く対応する文言はなかった気がする。古江本には「初回接見の接見指定でも適法とすべき典型的事案」として本問のような事案が載っていた気がするので、結論は明らかだが、あてはめ方が不確かである。

 

・得点のポイントは、①設問1では複数の各号該当性があることを踏まえて説得的なあてはめをすること、②設問2では2つの要件について判例の規範を正確に書くこと、③初回接見のあてはめを規範との整合性を保ちつつ説得的に書くこと、の3点である。

 

・合否の分かれ目(C答案の基準)は、①②③ができていることを前提に、意外と答案の構成で勝負がつくのではないかと思う。212Ⅱ各号該当性から書かなかったり(平成25年採点実感参照)、39Ⅲ本文を落としたりすると、このような簡単な問題では一気に評価を落とす。これに加えて、事実を一つも落とさないハイレベルなあてはめができれば、AやBがつくと思う。

 

 

 こんな感じですかね〜。明らかに例年より簡単な問題だと思うので、予想以上に評価が悪い人が続出しそうな問題です。何度も言いますが、あくまで勉強からしばらく離れた予備合格者が何も参照せずに自分の考えを書いてるだけなので、鵜呑みにはしないで下さい。おかしい記述もあると思いますが、これを題材に皆さん自身で考えてみて下さい。